2022年5月28日。
2週連続、今年3回目のウルトラマラソンの舞台はこちら、三浦半島。
63kmの部への挑戦で、今シーズン最長距離に不安を抱えながらの出場でしたが、真の敵はその距離ではなかったのです。
ウルトラマラソンのジンクス
私はこれまで(底辺ランナーとしては)それなりに多くのウルトラマラソンに参加してきました。そんな経験の中で生まれたジンクスがあります。それは
・初参加の大会はゴールできない
・二回目の挑戦ではゴールできる
ということです。
これまでに完走できたレースは日光(62km)と南房総(75km)で、日光は2017年初出場(37kmでリタイア)→2018年に完走、南房総は2017年初出場(31kmでリタイア)→2019年に完走、となっています。
さて、ではこの横須賀・三浦はどうなのかというと
おはよう、アイドルの北条加蓮だよ!
— K-TARO (@ktaro_77) 2018年5月25日
今日はPさんのお供で横須賀に来てるんだ。ウルトラマラソンに出るんだって。フルマラソンも完走できないのに無謀だよね… でも、こんな人でも一応私のPさんだから、お付き合いしてくるね。
今日お休みの人はいい休日を過ごせますように! pic.twitter.com/OuANOWas0q
ということで2018年に初出場し、こちらも30kmでリタイアでした。なので今回はリベンジ戦、ゴールしなければならないという決意で臨みます。
このゆるさが好き
前泊して、当日は赤い電車でまずはこちらに。
この大会はこれまで横須賀のヴェルニー公園がスタート会場でしたが、自治体との調整に難航したのか今年は三浦海岸がスタート&ゴールに変更されました。
駅から5分で会場入り。
受付と荷物預けをしたらあとはスタートを待つだけです。
スタート時刻は7時でしたが、ランナーも揃ったので6:55からフライングでウェーブスタートが始まりました。アバウトですね(笑)
みちくさマラニック走援隊のこのゆるさが好きです。では、行ってきましょう!
自分の足で
本日のコースはこちら。
横須賀→三浦の区間がなくなったので、代わりにまず北東にある久里浜のフェリーターミナルまで往復します。三浦海岸に戻ったら後は時計回りにぐるっと。
私が出場している63km(A)の部の制限時間は12時間もあるので、エイドでの休憩を考えても半分も走れば残りは歩いてもゴールできる計算です。これはさすがにゴールしないわけにはいきませんね。
フェリーターミナルへの道中。
みちくさウルトラは基本的に交通規制はないので歩道を走っていきます。最初は渋滞しますし信号にもバシバシ引っかかりますがそれは織り込み済み。
久里浜で折り返したら
三浦海岸に戻りましょう。
これから向かう剱埼方面の森が写真左手はるかかなたに霞んで見えます。あそこまで行くのか……と思う、こういう非日常的な感覚がウルトラの醍醐味だと思うんですよね。
何でもない日にあそこまで歩いていけと言われたら、それはもう拷問でしかないから絶対行きたくない。でも今日はこのまま走っていったらいつの間にかあの森を抜けてもっと先に進むことになるのです。そんなの、こんな機会でもなければ経験できないことですからね。
三浦海岸を越えて剱埼へ。
それにしても今日は暑い!この辺りからは坂が出てくるのでもう汗だくで、思わずコンビニに立ち寄ります。普段の大会ならたとえウルトラと言えどコンビニに寄るランナーなんて私くらいですが、この日は多くのランナーがアイスを求めてコンビニに集まっていました。
23.1kmの剱埼エイド着、これで全体の約三分の一が終わりました。
あまりに暑いので頭から水をかけてもらい、杏仁豆腐をいただいて先に進みます。早くも胃腸の調子が悪化して固形物は食べられなくなってきました。
憧れの城ヶ島
さて、ゴールまではまだ40kmあります。頑張らねば。
坂を越え……
丘を越えて城ヶ島を目指します。あっつい……!
城ヶ島大橋を通って城ヶ島へ。
京急沿線に生まれ育った身としては城ヶ島は南の端というイメージがあって好きな場所です。一度この橋を歩いて渡ってみたいと思っていたのでこうして実現できて嬉しい限り。
観光客に好奇の目で見られながら、33.1km地点の第二関門到着、11:52。
関門閉鎖は13:00なのでまだ余裕です。ここでも水を被っていきました。
求められたのは暑さ耐性
これで半分を超え、残りは30km。まずは次のランドマークである油壷を目指します。
三崎港をぐるぐる回って。
それにしても見てくださいこの晴れ渡った空! 灼熱の日差しはもはや夏のようです。
この日の最高気温は26℃。先週、標高1,900mで寒さに震えていたのとはえらい違いですね。一週間でこんなに気温が変わったら体調が持たない…… 幸いにして海風が強く吹いていたので気化熱で冷やされはするんですけど、それでも日陰でちょうどいいくらいの温度。そしてコース上に日陰などありません。
救世主 pic.twitter.com/oTsLZrV49R
— K-TARO (@ktaro_77) 2022年5月28日
なので頼みの綱はコンビニなのですが、それも限度があります。冷たいものばかり飲んだり食べたりしているとただでさえ疲労で弱っている胃腸がますますダメージを受けますし、腹を下すのも怖いので……
なのでそのギリギリのバランスを見極めながら進んでいきます。
この三崎港→油壷は4kmしかないのに、暑さのあまり本当に長く感じました。「ランナーの方はご自由にお使いください」とホースを庭先に設置してくださった住民の方、本当にありがとうございます。あそこで水浴びできなかったら倒れていたかもしれません。
なお、私がこれまで参加してきたみちくさマラニック走援隊さんの大会の中で、この大会がもっとも道が分かりづらかったです。前に人がいないと迷いそうで、実際にコースロストしてしまったというランナーさんもいました。ボリュームゾーンから外れたランナーはGPSで地図を確認しておくのをお勧めします。
40.2kmの油壷のエイドには13:17に到着。焼きそばをもらったり、トイレに寄ったりしてずいぶん長居してしまいました。
考えることはただ一つ
これで残りは23km。次の目的地は51.0kmのソレイユの丘です。
ここまではどちらかというと郊外を走っていましたが、ここからコースは大通り沿いになります。
海沿いとは異なり街中は丘陵地帯なのでアップダウンが激しく、40km分の疲労を抱えたランナーを苦しめます。なのでいつもなら上り坂を見てうげーっ!と思ったり、パトラッシュ、僕はもう疲れたよ……などという思考に支配される頃合いです。
しかしこの日は最後まで疲れたとは思いませんでした。なぜなら疲れたとか足が痛いとか以前にとにかく暑いから。もう”暑い”以外の感情は出てきませんでした。
なのでペース配分も何も計画できません。唯一計画できたのはどこのコンビニに寄るべきかということ。ここだと前のコンビニとの間隔が近いけど、でも寄らないとその次が遠すぎるしな……と、GoogleMapを睨みながら戦略を立てます。これは本当にマラソンなのか?もはや違う競技では……
ちょうどコンビニに入ろうとした時に沿道の子供達から「頑張れー!」と応援されて、ちょっと気まずくなったりすることもありました(笑)
ソレイユの丘着、15:18。これで残るは12km、ようやくゴールが見えてきました。
ちょっとした成長と感動
夕方になれば少しは涼しく……という希望もむなしく、気温は全く下がりません。身体に熱が溜まりすぎていよいよヤバいと思い始めたので、エイド脇の風通しのいい日陰で20分ほど座り込んでいました。
このソレイユの丘も関門ですが、あと12kmまで来てリタイアするわけにはいきません。休憩で少しは暑さも和らいだので、こんなものを片手に再出発。
他のランナーも大なり小なり暑さにやられていて、周りにいるランナーはほぼ全員が歩きでした。
そんな最終行程で、ふと気づいたことがあります。
平地と上りは歩き、下りだけ走って進んでいっているのですが、歩きの区間ではキロ9分半、走りではキロ5分後半~6分前半を維持できているのです。
だから何?とか、おっそ!とか思われるでしょうけど、これは自分にとっては驚きでした。というのも、ブランク明けの昨年あたりから自分の本来のペースが取り戻せず、ここのところはずっと歩きはキロ10分を切れないし、走りも(こうしたレースの後半では)キロ7分半が精一杯だったのです。
歩きの遅さもですが、走りの方はもう自分でも理解不能で、なんで下り坂で(しかも自分的には結構まともに走ってるつもりなのに)キロ7分半もかかるんだろう……?と思いながら、でも一向に速くなれずにいました。
それが今回突然治ったというか、昔のペースに戻れたのです。
特に60kmを過ぎてからもキロ5分45秒で走れたのは、それがたとえ下り坂のおかげだとしても、私としてはちょっとした感動でした。これまでレースに出続けていても感じられなかった成長が、ここにきてようやく芽を出し始めたのかな、と。参加してきたレースでの苦労は無駄ではなかったのだと思えたのが嬉しいです。
17:42、63kmの道のりを終えて三浦海岸に帰還。10時間47分の旅はこうして終わりました。
大会を振り返って
とにかく、しつこいですが今日は何よりその暑さに苦しめられました。私はもともと暑いのは苦手なのに、先週の12℃から暑熱順化も何もなくいきなり26℃になったのは本当にきつかったです。なので実質的にレースにはなっておらず、休憩も多すぎで完全にマラニックになりました。
でもそんな展開だったとしても、やはりゴールできたのは嬉しいです。茨城も野辺山も途中リタイアで、リタイアしてしまうと記録が何も残らないので、たとえ10時間でもこうして記録が残るのは達成感がありますね。これでウルトラは3回目の完走になりました。やったね!
なお、運営の名誉のために書いておきますと、みちくさマラニック走援隊さんの大会はエイドが充実していることで有名で、今回の大会も本来はコンビニに寄る必要など全くなく、エイドだけでも食べきれないくらい補給ができます。今回コンビニに頼ったのはあくまで身体を冷やしたかったからですね。道中で2,000円は使ってしまいました。
ともあれ、暑さを除けばコース上に見どころが多くてとても楽しい大会でした。こんなご時世にレースを開催してくださった関係者の皆様、ありがとうございました。
余談ですが、今月の走行距離は大会×4+自主練×1(26km走)で161kmと、そこそこランナーっぽい数値になりました(笑) まあ今月だけなんですけどね。
さて、こうして二週連続でウルトラに出ましたが、次の週末もまた大会があります。そろそろ「何もない週末」も恋しくなってきましたけど、出るなら出るで次も楽しませてもらいましょうか!
後日談
6/6に大会結果が公開されました。
何より驚いたのが猛者が集まる100kmの部の完走率がわずか24.39%だったこと。前半部分に山があるのでそこでスタミナを消耗してしまったランナーが多かったようです。来年参加される方は気合をもって望んでいただければと思います。
私の参加した63km(A)は完走率94.10%と立派な数字。みんな頑張りました。
自分の順位はと言うと出走者288人に対して208位と意外に高くてこれもびっくり。これだけ休んだり歩いたりしているのにこの順位ということは、皆さんやはり暑さにやられたようですね。それと大会の雰囲気がマラニックなので、12時間全部使って楽しまれた方も多かったのかも。