2022年5月22日。
ウルトラマラソンと言えばだれもが思い浮かべるレースの一つがこの野辺山。そんな野辺山に無謀にも挑戦してきました。もちろんゴールはできませんでしたが、得たものは大きかったと思います。
※42km関門でタイムアウトの記録です。
ゴールはできないけど
「いつかは野辺山」ウルトラマラソンに参加し始めたころから、そんな気持ちがずっとありました。
しかし、「東の野辺山・西の村岡」と謳われるように、数あるウルトラマラソンの中でもその難易度はトップクラス。とても私がどうこうできる大会ではありません。なので数年間は指をくわえて眺めていました。エントリーしたのはようやく自分なりに走れるようになってきたかな?と思い始めた2020年。
ところがその2020年、そして2021年もコロナのため大会は中止。そうして繰り越しされてきたエントリー権が日の目を見たのがこの2022年でした。
しかし…… 2020年に10kmを53分で走れていた私の脚はいまや10kmに73分もかかる始末(笑) もはや野辺山など考えもつかないレベルまで落ちぶれました。
ということで最初は辞退しようかと思っていたんですけど、考えれば2020年の時ですらゴールできるとは思っておらず、大会の様子が知りたいと思ったのが参加の理由だったのでした。ならば今年でも同じですね。ということで、67kmの部にエントリーすることにしたのでした。
出だしは雨
さて、では当日の様子にいきましょう。
現地で前泊して、臨時駐車場である南牧南小学校に着いたのは3:00。
天候はあいにくの雨。おかげでグラウンドは泥グチャでスタックする車まで出る始末。正直この駐車場に向かう道中ではよっぽどDNSしようかと思いました……
駐車場は2時オープンで、3時でだいたい半分くらいの入りでした。来年以降も同じ駐車場かは分かりませんが、いずれにしても早く入った方がいいと思います。理由は後述。
バスで会場に着いたら検温、消毒、5日間の体調記録を提出して受付完了。
体調管理はかなり厳重で、昨日今日はこのようにPCR検査まで必要でした。陰性ということで問題なし。
着替えて荷物を預けたら後は5時のスタートまで待機です。コロナで体育館は使えないので、気温12℃の中、早く暖かくなってくれと思いながら時が過ぎるのを待ちます。幸い雨はほぼ止みましたけど、これ、本降りだったらスタートまでにずぶ濡れになりますね……
時間が近づいてきたのでスタートエリアへ。
この頃になってもまだ受付が長蛇の列なのでどうしたのかと思っていたら、駐車場の混雑で間に合わない人が多数出たらしく、その人達は例外的に5時半スタートになるとのことでした。
私は定刻通り5時スタート。さて、どこまでいけますやら。
雲の中を登る
今日のコースはこちら。
最初にスタート地点付近を5kmぐるっと回ってから山に向かいます。私は結果として42kmで終わってしまったのですが、42kmは山から駆け下りたところがゴールなので、レースの8割くらいは山にいるイメージでした。トレランかな?
42kmまでの高低差はこちら。公式サイトの図は概念図みたいなもので極めて不正確なのでだまされないように。3回の大きな下りがあって、それ以外は基本上りだと思うのが良いです。
最初の5kmで早くも疲れました。おい大丈夫か。
踏切を渡ったら線路沿いに真っ直ぐ西に向かって
JR最高地点まで行きます。
ここ、一度は来てみたかったんですよね。こうして現地に来られて嬉しいです。ちなみにこの石碑はコースから少し外れたところにありまして、写真を撮るふりをして実は休んでいます。
さて、いつまでもサボっているわけにはいかないのでコースに復帰しましょう。
ここからは八ヶ岳の中腹をトラバースしながら標高1,906mまで600mほど上ることになります。
9kmからは路面は不整地に。走りにくいというほどではないですが、ロードに比べると体力が消費されます。
標高差は大きいものの水平距離も長いので斜度はそれほどでもなく、このくらいの上り坂が延々と続きます。途中で水平だったり下りだったりするところもありますが、9割方は上り坂でした。
なのでこの上りをどのくらいのペースで走れるかがポイントになりますね。私はもうずっと歩いているのですが、歩きは一定以上には速くできないので、この先の関門群を考えると頑張って走らなければならないセクションだったなと思います。
暑さに苦しめられることも多いらしいこの大会ですが今日は寒すぎ。雲の中に入ってしまったので全身びっしょりで、標高が高いので気温も低くて。結局、スタート時に着たシェルは脱げないままでした。
7:56、18km地点の本日最高点を通過。
23kmの第一関門閉鎖まであと44分。アップダウンが続くので思うようにスピードが出せなくて焦りましたが、最後の3kmが下りだったのでそれに助けられて…
8:35、なんとか閉鎖5分前に関門を通過!
……と思ったら閉鎖時刻が8:40ではなく9:10になってますね。朝の混乱で急遽5:30スタートの組を新設したので、それに伴って閉鎖時刻が30分伸びたようです。
自分は定刻の9:00スタートなので30分儲けたということになります。ふふふ、早起きは三文の徳なのだ。
第二関門は鬼門
では先に進みましょう。第二関門は42km地点で、閉鎖時刻は本来は11:00なので今日は11:30のはず。つまり19kmを2時間50分で進めばいい……のですが、あれ、30分のアドバンテージがある割にはずいぶん短いな……?
そう、67kmの部は、この第二関門、そして50kmの第三関門がシビアに設定されています。ゴールまでの平均ペースはキロ10分弱でいいのに、第一から第二はキロ7分21秒、第二から第三はキロ7分30秒でないと抜けられません。
この設定の理由は下り基調だからだと思うのですが、実際に走ってみると思いのほか上りが多くてペースが上がらず。
特に稲子湯手前からは激登りになってしまってキロ7分どころかキロ12分も危うい有様に。なので稲子湯に着いた頃には制限時間まであと1時間を切ってしまいました。
エイドのスタッフとランナーとのやり取りが遠くに聞こえます。
「あと1時間で7.5kmだから行ける行ける!」
「1時間で7.5kmなんて無理だよ〜!ここがスタートならともかく、ここまで30km走ってきたんだよ?」
まったく同感であります。
一時期は標高を下げて雲の下に出ていたコースも、再び雲の中に突入。幻想的な眺めですね。もうこの頃にはタイムは絶望的になっていました。
最後、関門までの4kmは完全に下りなのでそこだけは何とか走って……
「関門閉鎖でーす」というスタッフさんの声に迎えられて、本日のレースは終了。気づけば閉鎖時刻を20分も過ぎていました。
ここからはバスで会場まで送ってもらい、そこから更に駐車場までバスに乗って、家路に着いたのでした。
大会を振り返って
こうして、漠然と憧れていた野辺山への最初のチャレンジは終わりました。結果は予想通りでしたけど、一度は来てみたかったこの大会、やはり百聞は一見にしかずで、実際に体験できたのが嬉しかったです。
67kmは想像以上に厳しそうなので、もしまたチャレンジするなら今度は42kmの部から順にステップアップしていこうと思っています。第一関門から第二関門への19kmに今回は3時間10分もかかってしまったのですが、ここを劇的に短くするのは困難なので、第一関門までで貯金が作れるようにしたいですね。
着替えを持って走り、第二関門であり42kmの部のゴールでもある八峰の湯で汗を流してから帰れたら気持ちいいだろうな……なんて思っていたり。そのためにも、次回はもう少し走力をつけてから挑戦したいところです。
この日、最後まで八ヶ岳は雲の中でした。
次に来るときはその姿が見られますように。