2020年5月30日。
オンラインで開催されたマラソン大会に出場してきました。
フルマラソンの部に出場したつもりでしたが、峠道を走ったり、山に登ったり…… フルマラソンとは程遠い結果になりました。
えちご・くびき野よ、お前もか
今回の大会について触れる前に、最近の状況について。
前回、推し(立花日菜さん)に100kmマラソンの完走を宣言して、えちご・くびき野にエントリーしたと書きましたが
だーっ! やっぱりかぁ😭
さて、どうしよう。南房総中止→白山白川郷中止→えちご・くびき野中止で、目標とするウルトラマラソンがなくなってしまいました。近場で残っているのは南伊豆ですが、南伊豆は100kmの中でも屈指の難コースなのでとても完走できる自信がありません。
とはいえ、宣言しちゃったからなぁ…… 悩ましい。
ということで、南伊豆に出るかどうかはともかくとして、練習は続けていくことにしました。
コースは毎回同じで、平地を10km→林道を疲れるまで登って降りる→平地を10km。
この林道トレーニングは去年の白山白川郷での反省から考えついたものです。白山白川郷は序盤で峠道を950mほど登るのですが、この登りが予想外にダメージになってしまって……
普段登山しているから950mくらい余裕じゃない?と思われるかもしれませんけど、登山は足裏は基本的にフラットなんですよね。それに対してロードの登りは斜めなので、ふくらはぎの筋肉の負担がすごくて。
なので、これはこれ用のトレーニングが必要だなと思ったのでした。そして実際にやってみると、毎回ふくらはぎがいい感じに筋肉痛になるので、トレーニングとしては有効なんだと思っています。
あの山まで行きたい
さて、そうしてトレーニングしている間にも秋の大会まで次々と中止に。
多くのランナーが2月以降は大会に参加できていない状況になっています。大会に出ることだけが全てではないですが、日々のトレーニングの成果を発揮する舞台がないのでは刺激も入らないというもの。何となく、悶々とした気持ちで過ごしているランナーも少なくないことでしょう。
そんな折、Twitterを見ていたら、ふと面白い企画が目に留まりました。
それが今回の「週末ひとりTATTAマラソン」。
オンラインでの大会で、ランニングアプリ”TATTA”またはGPSウォッチで計測した結果をもとに順位が決まる大会です。日程は5/30~5/31、時間帯自由、コースも自由、部門はフルとハーフで制限時間なし。要するに、好き勝手に42kmなり21km走ってください、そういう大会。
この大会の案内を見たときに、あ、これは積年の願いを叶えるチャンスなのでは?と思いました。というのは……
我が家からは、栃木県・矢板市にある高原山が近くに見えます。
この高原山は家から登山口まで車で30分というアプローチの良さから、トレーニングとして足繁く通っている山です。そしてこの数年、この山を見るたびにこう思っていました。「家からあそこまで走っていけないかなぁ……」と。
山頂まで行くとなると本格的な登山になってしまいますが、途中のビュースポットである八海山神社までなら、あながち無理ではないような気がしていました。しかし、近いとは言っても八海山神社までは25km以上、標高差も1,200m以上あります。往復したら50kmになるわけで、気楽にやってみよう!とは思えなかったのです。
それが今回このような企画を見たことで、ついに実現のチャンスが来た気がしました。
既に日常の練習でハーフ以上の距離は走れているので参戦するならフルしかなく、そして平地でフルを一人で走るのは結構な苦行なので、ならば順位はどうでもいいからやりたいことをやろう、そう思いました。
絶好の登山日和
この距離を走ると翌日死ぬのは明白なので、参加したのは5/30(土)。
マラソンと言っても実態はマラニックになるでしょうから、装備もそれなりに持っていきます。山に入るので靴はトレランシューズを採用。飲み物は2Lで、後は道中で補給していきましょう。
好天でかなりの気温上昇が予想されたので、これでもか!というくらい水分を取ってからのスタートになりました。7:54、走行開始。
いやー、素晴らしい晴天ですね! 高原山もくっきりです。1月からずっと登山できていないこともあって、思わず「山に登りたい!」という激情にかられましたが、あ、今日登るんでしたね。
しかし、改めて見ると遠いですね…… あんなところまで行けるのだろうか。
農道を10km走ると林道へ。ここから最初のランドマークである「山の駅たかはら」までは12km、標高差700m。最初の頑張りどころです。
この林道、斜度はかなりきつくて走るのは全く無理。
ただその分、高度が上がるのが早いのは救いですね。気づけばあっという間に市街地を見下ろすところまで来ていました。
やがて空も大きく開けてきて……
初夏を思わせる雰囲気の八方湖を過ぎたら……
標高約1,050m、山の駅たかはらに到着です。(11:45)
"到着です"なんていかにも簡単そうに書いていますが、思いのほか苦戦しています。ほぼ歩きだから仕方ないとはいえ、4時間近くかかってますしね。あれ、こんなに遠かったっけな……?
ここで食事休憩と、飲み物の補充をしておきます。今回のコースは峠+山なので、飲み物が手に入るのは8km地点、22km地点(ここ)、そして次は市街地に降りてからなので37kmすぎになります。日差しが強烈で汗が滝のように出ていますから、補給は十分に。
八海山神社の大展望
そうして態勢を整えたら、いよいよ山に分け入っていきます。県道56号に出て、正面の登山口へ。
今回は周回コースで、下りはこの県道56号を通ります。なので、ここで山に入らずに左方向に56号を降りた方が当然早いですし、距離も42kmと大会の主旨に合った形になります。かたや、山に入ったら50kmコース。ウルトラマラソンかよ。
早くも疲れが見えてきていたので、ん?このまま降りた方が良くない?と3分ほど悩みましたが、ここまで来て山に登らない手はありません。何のためにトレランシューズを履いてきたのかわからなくなりますしね。
春の雰囲気漂う樹林帯へ。
登山は1月頭の浅間山以来ですから実に半年ぶりで、歩きだしの10分ほどは脚が重くて、あのまま峠道を降りていれば……と思いましたが、しばらくすると山歩きの感覚がだんだん戻ってきました。
そうしたらやっぱりトレイルは楽しいですね! 森林浴効果で精神的にも爽やかな気分になれます。単調なロードと違って足の踏み場には気を遣わなければいけませんけど、そんなところも含めて山歩きっていいなあと改めて思いました。
ツツジ咲く小間々を過ぎ、大間々へ。そしてそのまま見晴らしコースへと進みます。
大間々の駐車場から5分ほどのところに、八海山神社への登山口があります。
今歩いている林道はミツモチ山につながっていて、最終的な進路はそちら。ただ、今日最大の目的は八海山神社ですから、寄り道していきましょう。八海山神社までのコースタイムは1時間。
さて、この八海山神社への登山道、出だしはしばらく急登が続くので意外としんどいです。でもね、その苦労は後半の楽しみの代償。この道標を抜けると……
ドーン!と視界が開けます。
写真は後で載せますが、左手に広がるのは関東平野の広大な眺め。何度来てもこの瞬間は本当に最高!
そこからはもうウィニングロードです。歩くこと10分少々で、目的の八海山神社に到着。凄いな、歩いてここまで来られたよ……!と、積年の願いを叶えた嬉しさはひとしおでした。
スタートから5時間半、26kmにして、折り返しとなる本日最高地点の高原山、八海山神社に到達(1536m)
— K-TARO (@ktaro_77) 2020年5月30日
なんの競技に出てるんだっけな…?
さてここで宣伝です
この子達は市井舞菜と丸山利恵、そしてその声を演じてるのが新進気鋭の声優・立花日菜さん
立花日菜さんをよろしく!#週末ひとりTATTAマラソン pic.twitter.com/Vf6q4oCHFE
そして、ここぞとばかりにひーちゃんの宣伝を紛れ込ませていくスタイル(笑)
改めて、八海山神社からの展望。どうでしょう、素敵だと思いません?
栃木県で登山を始めるなら最初に登る山としてお勧めなのがここ。大間々の駐車場からここまでのんびり歩いても一時間ですし、道中に危険個所もないので、家族連れのハイキングにもピッタリです。そしてその労力の少なさとは裏腹の大展望。もう何十回と訪問していますけど、何度来ても本当に爽快な場所なのでした。
ようやく走れる!
さて、それはいいんですが、時刻はもう13時半を回っています。
いえ、行程からすればそんなに遅いわけじゃないんですよ。山の駅たかはらからここまでコースタイム2時間のところを半分の1時間で来られていて、なんだ、まだまだ山登りやれるじゃん!という気分にさえなっていました。
しかし、そうは言ってもここは折り返し地点なので、今日のコースはまだ半分残っています。ここまではほとんど走れませんでしたが、勝負はここから。このためにトレランシューズで来たんですし、ぶっ飛ばしていきましょう!
というわけで先ほどの八海山神社登山口まで15分で駆け下り、林道をミツモチ山方面に向かいます。
この大間々~ミツモチ山間はずっとこのような林道で、アップダウンも少ないのでトレランにはもってこいの区間。登山者も少なくなってきたので、好きなように走っていけます。
15分ちょっとでミツモチ山に到着。
このミツモチ山、山頂はこのように展望もなく、パッとしない印象です。でも、この山の魅力はここじゃないのさ。ということで、そのまま下山方向に進んでいくと……
Fooooooooo!
下山方向には空が大きく広がっています。ここを駆け下りていくとまるで空に飛び込んでいくようで、その爽快感と言ったら! これだからトレランはやめられない!
こちらも下の駐車場からのコースタイムは1時間ちょっと。ハイキングにはもってこいですね。
その後も快適に走れて、15:07、県道56号への合流までたどり着きました。
ここで距離は36kmちょっと。残りは14kmでずっと下り坂ですから、走っていければ1時間半で家に着くはずですが……
まあそんなにうまくはいきませんでした😅
先ほどまではトレイルだったので、テンションの高さで疲労感をごまかせていたのですが、こうしてロードに出てしまうとその疲労が一気に襲い掛かってきて……
何とか走っていたのは39kmくらいまででしたでしょうか。その後はもう走っては歩き、走っては歩き、そのうち走れなくなって全部歩きに。
特に42kmを超えてからの8kmは本当に精神にきましたね。この大会は42kmまでのタイムが登録されるので、42kmを過ぎたら記録はストップさせて道端で休憩していてもいいのですが、なぜか50kmという記録を残したい、という気持ちを捨てられなくて。
もう16時を過ぎたのに下界は全然涼しくなく、西日がむしろ熱いくらい。山の上はとても快適でしたので、そのギャップもあってか内臓がすっかりやられて飲み物も飲めなくなる始末…… 最後の頃は気分的に半泣きでした(笑)
というわけで、50kmに到達したのは17:18。GPSウォッチの計測を止めると同時に歩道に崩れ落ち、しばらくは呼吸するのでさえ困難なほど。そしてそこから家まではまだ2kmほどあったので、その2kmはもう無限の道のりに感じたものでした。こんなに疲れたのは人生でも数度あるかないかでは?と思うほど。ちょっとオーバーワークだったようです。
大会を振り返って
両足には水ぶくれができ、爪も2本死亡。それでも一晩経って振り返ってみると、昨日は参加して良かったな、と思えるものです。
歩き通して改めて感じますが、この企画がなければやはりこのコースに自発的に挑むことはできなかったんじゃないかと思います。ちょっと挑戦してみよう、と思うのには距離が長すぎて。
なので、こういう機会を与えてもらったことには感謝です。一度実践してしまえば、あの時できたんだから……!という気持ちになるので、繰り返し挑戦することも不可能ではありません。最後の頃の苦い記憶は一切忘れてね(笑)
普通の大会が本格的に開催できるようになるまではまだ当分かかりそうなので、その間はこうしたオンライン大会がたくさん開催されるといいですね。次に参加できるのがいつかは分かりませんが、それまでは峠道トレを頑張っておきます!