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登山とマラソン、ときどきゲーム

両神山

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2019年11月4日。

無雪期登山の締めくくりはこちら、両神山。

台風19号の爪痕に惑わされることもありましたが、穏やかな天気の下、楽しい登山ができました。

 

久しぶりのパーティ登山

例によって長い前置きから始まります。本編へは目次の「崩壊した駐車場」を選んで飛んでください。 

 

私は、会社でのイベント登山や、身内との登山を除き、基本は登山はソロでやっています。

しかし今日はペアでの登山。お相手はTwitterで知り合った青年さん。この方とは今年の夏に初対面でいきなり富士山に行ったので(台風の暴風雨のため八合目で撤退)、今回が二度目の同行になります。いつもお誘いを受けてご一緒することになるのですが、登山の経験は私の方が豊富なので、プランは私が立てています。

さて、今回「また登山に行きませんか?」というお誘いを受けて、実際に登山に行けるのは早くて11月ということになったのですが、ここで少し悩みました。

最近は11月からはもうマラソンシーズンにしてしまっていて、この時期に山に行かなくなっているんですよね。なので、この時期に登れる山がパッと頭に浮かんでこなくて、久しぶりに登山ガイド本を引っ張り出したりしました。

前回の五合目からの富士登山はいわゆる「山の楽しさ」を感じられるものではなかったので、今度は山の楽しさが少しでも伝わる山にしたい。なので、冬枯れでなくまだ葉が残っている山で、山頂で展望が開ける山がいい。できれば沢もあって、相方さんは体力があるのでロングコースで、標高もそれなりに高くて、無名峰ではなくて、そして人を連れていくからには自分が一度行ったことがある山にしたい。

そう考えていったら、条件に当てはまる山はひとつしかありませんでした。

そうだ、両神山にしよう。

 

www.kanko-ogano.jp

今年は秋に襲来した大型の雨台風である台風19号のおかげで各地の山に被害が出ていて、この両神山も林道崩壊によりいくつかの登山口にはたどり着けなくなっていました。ただ、今回のお目当てである日向大谷コースについては、駐車場が一部崩壊していたり、道中も三か所ほど崩れているものの、山頂までは辿り着けるようです。よし、決まりだ。

こうして日程を調整し、当日は夜中に家を出て相方さんをピックアップし、現地に向かいました。

 

崩壊した駐車場

二度目なはずなのに全く記憶のない林道をたどり、一番下の無料駐車場に着いたのは7:05。

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一番下の駐車場に既に停まっている車があるということは、上の無料駐車場は空いていないということ。有料駐車場は空いているのかもしれませんが、もし空いていなかったときに戻ってくるのが面倒なので、車はここに停めていくことにしました。

 

準備を終えて、7:16、本日の登山を開始。

予想通り上の無料駐車場(15台くらい?)は埋まっていて、そしてさらに登っていくと……

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例の崩壊した有料駐車場が現れました。

う~ん、現地で見るとやはりインパクトがすごい…… 写っていませんが、この手前にあった小屋も斜面に落ちていて、被害甚大。

車が一台どうにか通れるだけの道は残っていたので、上にある両神山荘へのアクセスは確保されているのが唯一の救いでしょうか。

 

ここから数分歩いて登山口へ。では、前置きが長くなりましたが、いよいよ本日の登山の始まりです。

 

見覚えがない……

登山口からしばらくは、歩きやすい緩やかな上りの道を進んでいきます。 

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そして、登山口までからここまでの道のりで分かったことがありました。

前回の記憶が全くない……(^-^;

まあ前回はもう10年前とかなので無理もないですかね…… とりあえず今回の日向大谷コースは道が分かりやすいので、記憶がなくても登山には支障はないでしょう、と、この時はそう思っていました。

7:58、最初のランドマークである会所に到着。ここまでは問題なしでした。

 

高巻き、高巻き……

会所を過ぎると、沢に降りる場面があります。

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さて、ここでクイズです。登山道はどこでしょう? 

 

正解は……

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この青線。

そして実際に私が進んだのがオレンジのライン……(笑)

 

ここは本来は橋が架かっていたのが、台風の豪雨で流されてしまったところです。橋があれば迷わなかったと思いますが、橋がなくても赤テープをちゃんと見ていれば迷わないはず……我ながら情けない。

そして最大の失敗は、渡渉した後に直進すべきところを右折してしまったこと。

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そのおかげで100mほど無駄に上り下りする羽目に……(><)

なぜこうなったかというと、自分の中で崩壊箇所は高巻きで迂回、という刷り込みがあったんですね。なのでしばらく登ってみたりしたんですけど、どうにも方角が違うな?と……

結局、渡渉地点まで戻って、そこでようやく登山道を見つけました。これで脚力と30分をロス。これは痛い! 

 

沢の流れに癒されて

正規登山道に復帰し、登山再開。

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登山道はここから急登になっていきます。

そう、この日向大谷コースは、技術的には難しくないものの、体力的には中級者向け。単純標高差は約1,100m(累積だと1,500m以上?GPS記録だと1,800m弱)ですから、それなりに本気で登らなければなりません。

日向”大谷”の名の通り、谷筋をたどっていくので見晴らしはなく、息が切れる登りをひたすらに。 

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ただ、しばらくは沢沿いの道が続きますので、見た目の印象は爽やかです。

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水の流れる音って癒されますよね。だから、沢沿いの登りは好きなのです。

 

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登山道の崩壊箇所は明らかにわかったところが二つ。ここは崩壊しているのかもともとこうなのか謎なところです。一番大きく崩れていたのは清滝小屋前の斜面でしたが、いずれにしても、通行が困難というほどではありませんでした。

 

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やがて登山道は谷筋を離れ、それに従って登山道に陽が射すように。

やっぱり日差しがあるとテンションも上がってきますね。なのでこんな写真を撮ったりして遊びながら登っていき…… 

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清滝小屋に着いたのは10:06でした。

迷っていた30分間を考えれば、悪くないペースで登れていて一安心。

 

稜線と鎖場と

小屋を過ぎると、傾斜はますますきつくなります。

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ただ、ふと振り返るとそこには色づいた木々が。綺麗ですね(^-^)

 

20分ほどで、本日初めて尾根(産泰尾根)に乗り、そこから少し歩くと鎖場が出てきます。 

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ただ、両神山と言えば鎖場、という印象をお持ちの方も多いと思いますが、日向大谷コースの鎖場は鎖を使わなくても登れてしまう程度の難易度で、高度感もなく、特に問題なく通過できると思います。 

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小屋から尾根に出るまでと、鎖場の辺りが本日最も急な上り。頑張りどころです。

そこを越えれば…… 

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両神神社からはしばらくのんびりとした尾根歩きになります。

やがて登り斜面が出てきたら、山頂まではもうすぐ。最後、細い尾根を注意しながら通過すると…… 

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はい、両神山・山頂に到着です!(11:20)

 

展望がご褒美

狭く尖った山頂からは、特に南方面の展望が優れていました。

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奥秩父から遠く八ヶ岳まで。今日は雲で隠れていましたけど、空気が澄んだ日は北アまで一望できるそうです。

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東から西までの眺め。う~ん素晴らしい!

展望が開けない山頂も多いですけど、やっぱり私は山頂はこうして開けていてほしいですね。登ってきてよかった、とより強く実感できるように思うから。

 

11月ではありましたが風が弱かったこともあり、寒さに震えることなく過ごせたこの山頂。この日は登山者が多くなく、たまたま我々が到着した時は貸し切りだったこともあり、久しぶりに山頂でゆっくりしてしまいました。

 

 

40分ほど眺めを楽しんだら、あとは帰るだけ。

日向大谷コースは途中で七滝沢コースに分岐し、そちらを通っても帰れるのですが、七滝沢コースは険路とのことなので、来た道をそのまま戻ることにしました。 

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加蓮ちゃん、渡渉に挑むの図。

こんな撮影をして遊んでいても、下りは早いもの。山頂を降り始めてから約2時間半、14:32に駐車場に戻れました。お疲れさまでした!

下山後は大滝温泉・遊湯館で汗を流し(ちょっと遠いので薬師の湯でもいいかも。この辺の温泉はアルカリ性なのでアルカリ好きの自分には嬉しい)、関越の事故渋滞に巻き込まれたりもしましたが、何とかその日のうちに自宅に戻ることができました。

 


こうして天候にも恵まれ、無事に終わった秋山登山。 

総行程は7時間を越えましたから何気に長丁場でしたが、無事に終えられたのは相方さんが頼もしかったから。相方さんは登山の経験こそ多くないものの、スポーツマンですから体力は私より上、加えて山のマナー(挨拶をする、道を譲る、など)をしっかりとわきまえている方なので楽でしたし、かつ何より自然を良いと感じる感性の持ち主だったから、一緒にいて楽しかったです。陽光に輝く緑、稜線からの眺め、心を落ち着かせる沢の音……そうしたものを貴重だな、と思える人だと、感動も分かち合える気がします。ありがとうございました!

 

さて、ここからは毎週のようにマラソンが入っているので、今年の無雪期登山はこれで終わりにします。次の登山は雪山。あの引き締まった空気を今度はどの山で味わおうかと、今から楽しみです。