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登山とマラソン、ときどきゲーム

2020東北遠征 Day2 八甲田山

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※Day1は欠番です。

2020年8月12日。

今年のお盆休みは北東北に遠征してきました。

第二座は八甲田山。一度登ってみたかった山なので楽しみです。

 

今年こそ、宿願を果たしに

東京生まれで栃木在住の私は、これまで関東を中心に山登りをしてきました。山登りの経験が増えるにつれて行動範囲は広がり、今では南北アルプスまでも歩くようになりましたが、それらの山々はスケールの大きさや標高の高さを除けば、全体の雰囲気としてはこれまでの自分が持っている「山」のイメージを逸脱するものではありませんでした。

そんな私がショックを受けたのは、2015年に訪れた山形県・月山。

福島を除き、初めての東北登山として臨んだこの山の雰囲気は、これまでに登ってきたどんな山とも違っていました。標高は2,000mにも満たないのに、序盤から視界が大きく開けていて、それでいて植生は豊かで……

私はよく高い山に登っていますが、それは頑張りたいわけではなく、高い山でないと視界が開けないし、高山植物にも出会えないからです。なので、高くない山でもそれが満たされていればもちろんその方がいいわけで、そういう意味でこの月山はなんて贅沢な山なんだろう、そう思いました。そして、東北にはこんな山が他にもあるんだろうか、そうならいつか登りに来たいな、そう願ったのです。

 

しかし現実問題として、自宅から東北、特に北東北は遠すぎます。青森の山ともなれば片道500km…… 2連休程度ではとても訪問する気になれません。かと言って夏休みのような長期連休にはアルプスにテント泊に行ってしまうため、これまでずっと東北遠征は実現できずにいました。

 

そうして迎えた2020年の夏休み。9連休を貰えたので今年はテント泊で北アの長期縦走を…… なんて考えていましたが、そこに立ちはだかったのがコロナ禍。感染防止のため・密を避けるために、山小屋は営業休止、テント場は予約が必要になるなど、これまでの夏とは違う、緊張感を強いられる事態になってしまいました。

水が豊富に使えず、手洗いさえもままならない山の中で、首都圏からの登山者も多く訪れるという状況の下、感染のリスクにおびえながら登山するのでは、せっかくの休み気分が相当スポイルされてしまい、あまり楽しそうではありません。今年はアルプスは無理かな…… そう思ったときに、今こそ東北に行くチャンスなのでは?と気づいたのです。

9連休あれば、往復にそれぞれ1日ずつ使ったとしても日程的には余裕。時期はちょっと過ぎたけれど、東北の湿原巡りをしてみようーーそれはとても魅力的なプランに思えたのでした。

 

幻に終わったDay1

今回の東北遠征では、高山植物・湿原・展望を考慮して、八幡平、八甲田山、そして早池峰山に行くことにしました。

このうち、八幡平はメインの見どころである八幡沼の周囲を回るだけならコースタイムは1時間であり、移動日に組み込めそうです。そこで、初日である8/11は深夜から八幡平を目指して走ること430km。現地には朝8時に辿り着きましたが……

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ありゃりゃ……?

今日の八幡平の天気予報は晴れで、アスピーテラインも途中までは青空だったのです。しかしこの見返峠まであと標高100m辺りまで来たところで、そこから上は雲に呑まれていて……

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登山口もこんな感じに。

今日はここを散策したら後は弘前のホテルに行くだけなので、ちょっと待ってみよう。しばらくしたらこの雲も流れるかもしれない。そう思って車で3時間ほど仮眠して、今度こそは!と再び登山口に来てみると……

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ウボァー!

だめだこりゃ。

こんな天気でも、せっかく来たんだから……とばかりに突撃していく人も散見されましたが、私の目的は八幡沼周囲のお花を愛でつつ、いかにも東北の夏!っぽい風景を撮りたい、ということでしたから、これではどうにもなりません。

ということで、初日はこのままホテルへ直行。登山はできませんでした。

 

Day2 いざ八甲田山へ

弘前で迎えた2日目の朝。

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お山の天気はいまいちですが、今日は10時過ぎから晴れる予報。

それを信じて、のんびり準備しつつ現地に向かいました。 

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弘前から走ること1時間弱、酸ヶ湯公共駐車場に着いたのは9:05。トイレやインフォメーションセンターのある広い駐車場でした。

 

今回の東北遠征は、初めての山域であり、かつ連日の登山となることもあって、まずは各山のおいしいところだけを見に行くことにします。ここ八甲田山で言えば、主峰の大岳、そして毛無岱の湿原が今日のターゲット。なので、コースとしてはこの駐車場から大岳・毛無岱をめぐる最短ルートを選ぶことにしました。

頭上にはまだ雲があるため、この後晴れるとしても大岳と毛無岱のどちらで晴れを迎えたいかを考えねばなりません。展望を取るなら大岳ですが、この旅では「晴れた、いかにも”日本の夏”という風景を、東京にいる推し(ひーちゃん)に見せたい」という願望もあるため、景色として綺麗そうな毛無岱を重視することに決定。酸ヶ湯→大岳→毛無岱→酸ヶ湯、の反時計回りルートで歩くことにしましょう。

 

雲に突入

9:39、登山開始。まずは樹林帯を登っていきます。

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登山道は岩ゴロ。水はけも良くないようで地面はドロドロでしたので、靴は防水の方が安心ですね。

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北東北の山だけあって森林限界の訪れは早く、登山口から40分ほどで早くも視界が開けます。このように植生がないところでは硫化水素臭が強く、改めてここが火山であることを実感。

 

さて、標高をだいぶ稼いできましたが、雲は相変わらず自分よりも高いところにあります。この調子でいけば、自分が登る→雲も昇る、で最終的に山頂は晴れるのでは!?なんて思ったりもしていましたが……

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そううまくもいかず、仙人岱に差し掛かるころには周りは真っ白に。山頂はダメそうですね、これは……

ただ、この仙人岱は湿地帯なので水の流れがあり、お花も見られて、その意味ではテンションは上がります。

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キンコウカの群生が綺麗。

あ~、晴れていればもっと絵になったのになぁ!

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やはり高山植物のシーズンはちょっと過ぎてしまっているようで、花が満開、とはいかないものの、水と花々を見ると心が癒されます。早くも、次はもっと早い時期に来よう……と思ったものでした。

 

さて、ここまで晴れを待ってのんびり歩いてきましたが、このまま待っていても状況は好転しそうにありません。諦めて、山頂はとっとと通過してしまうことにしましょう。ということで最後、ジグザグの急登を一気に登り詰めて……

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11:48、八甲田山の最高峰・大岳の山頂に到着しました。

 

毛無岱は天国

山頂は当然ながら真っ白で何も見えず、しかも風がかなり強くて長居する気になれません。他にも登山者は数名いたのですが、みんな山頂標識を撮ったらすぐに退散している様子。私も滞在時間30秒で通過します。あ~あ、ここから陸奥湾を見てみたかったな。

 

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大岳避難小屋まで下りてくると、雲の下に抜けました。

右上方向に延びているのは井戸岳(CT20分)への登山道。わー、好きだなぁこういうの!

今日私が進むのは左手ですが、こうしてちょっと気になるピークへ気軽に登れる道があるのは、好きに楽しんでいいよ!と言われているみたいで嬉しくなります。乗鞍岳を思い出しますね。あそこも畳平BTで降り立ったら四方に登山道が延びていてワクワクしたものでした。

今日行けない(行く気がしない)のは残念の極み。次に来たときは必ず登ろうと心に誓いました。

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避難小屋から毛無岱湿原へ。

今回のコースは3分の1くらいは木道ですが、それ以外はごく普通の登山道になっています。近くにロープウェイの駅もあるので観光ついでにこちらに歩いてくる方々も多いと思いますけど、歩きやすい道というわけではないのでそれなりの靴で来ないと後悔するかも。1kmくらいしかない割にはずいぶん長く感じました。

 

しかし、ここを抜ければ……

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わーお!

目の前に広がったのは湿原を埋め尽くすキンコウカの群生。

ここまで見通しのない樹林の中を降りてきたので、ここでパーッ!と視界が開けたときの瞬間は格別でした。

ガスの中で強風に打たれ寒ささえ覚えた山頂と比べると、ここはまさに別世界。日も差してきましたし、風も穏やかで天国のようです。

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今年は春先から本格化したコロナ禍のために登山も自粛が呼びかけられ、長梅雨も相まってほとんど山には行けていませんでした。ですのでこうして夏らしい景色を見られたのは今日が初めて。しかもそこは私の大好きな湿原。文句のつけようもありません。

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加蓮さんもご満悦。

 

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この毛無岱は上毛無岱・下毛無岱の二層に分かれていまして、上毛無岱から下毛無岱に降りる階段の上からは、下毛無岱の全景を俯瞰することができます。

もうこの眺めが綺麗でね! 池塘に空の青さが写って輝く様は最高の一言でした。これからあそこを歩いて行けるのか……!と思うと、こんな幸せな時間があっていいのかと思うくらい。

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今日は下山したら盛岡のホテルに直行するだけ。ですのでこの湿原歩きはめいっぱい時間を使いました。水生植物を探したり、振り返って大岳を眺めたり、休憩所でボーッとしたり。あー、これでやっと自分にも夏が来た気分です。

 

今回の東北遠征は三日間を予定しています。ちょうど晴れる三日間を狙ってきたのですが、そこは山の天気。昨日の八幡平のように、天気予報通りにいくとは限りません。ですので収穫ゼロで帰らなければならないケースもありえたのですが、この毛無岱のおかげでいい思い出が一つ作れたのは嬉しかったですね。

 

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14:20、酸ヶ湯に帰還。

コースタイム4時間30分のところを4時間40分、久しぶりに”楽しむこと”を第一にできた登山になって満足でした。

 


こうして初めての北東北エリアの登山は無事終了。

やっぱりここまでくると山の様子は関東とは全然違いますね! 大岳の標高は1,600m弱と、地元の高原山(約1,800m)にすら及ばないのですが、その植生はまるで標高2,500mはあるかのような雰囲気で、視界の広さもとても爽快でした。周辺には湿原が多く、湿原好きの私としてはまさに垂涎の山。近くに住んでいたら毎週通うのになぁ……!と思うほど、ワクワクさせてくれる山でした。

栃木からだと一日でたどり着くのが困難なので何度も来られるところではないですが、次の機会があったらぜひ7月に来てみたいですね。今日見られなかった、散ってしまった花たちも、その時にはきっと満開で迎えてくれることでしょう。

 

さて、それでは盛岡まで100km強のドライブをしなくては。明日は今日よりは少しだけ運動強度の強い登山をします。出発も深夜になりますので、少しでも寝ておかないと!