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登山とマラソン、ときどきゲーム

第3回 南房総100km・75kmみちくさウルトラマラソン

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2019年3月23日。

春シーズンの最長距離となるのが、千葉県・勝浦市から南房総市の野島崎灯台へ向かうこのウルトラマラソン。前回は30kmでリタイアでしたが、今回は75kmの道のりを何とか踏破することができたのでした。

例によって無駄に長いだけで参考になるような記事は書けていませんが、お暇な方はお付き合いください。

 

本題に入る前に、少し寄り道を。

レースを終えた翌日、車を取りに勝浦のホテル三日月に戻り、そのついでに少し観光をしてきました。

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昨日のレースでも通った八幡岬公園。季節はもうすっかり春です。

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展望台からの眺めもご覧の通り。こんな景色の中で走れたら最高ですね!

……昨日はそうはいかなかったのですが……(^-^;

 

さて、それでは、その前日の大会の様子を語っていきたいと思います。

 

準備はばっちり

最初に書いた通り、私はこの大会は二回目の参加になります。

k-taro.hatenablog.com

その一回目は、極度の寝不足と空腹であえなくリタイア。なんとも情けない結末になったものです。

そこで今回は、金曜のお昼過ぎに栃木を出発。現地には18時に到着し、睡眠は十分とれました。前回はホテル三日月の駐車場(0時開場・先着200台)が埋まってしまうのが不安で0時ちょうどにホテルに向かったのも寝不足の原因の一つでしたので、今年は2時半過ぎに着くように調整。今年の様子だと、何時に着いても200台が埋まるということはなさそうでした。

食事もしっかりとって3時になったら受付へ。もう二度目なので慣れたものです。誓約書とヘッドライトを見せて受付をパスし、ゴールに送ってもらう荷物を預けたらあとはスタートを待つだけ。

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そして5時、100km組・75km組ともに会場を飛び出しました。

 

エイドを楽しんでいこう

スタートしたら、まずは南の八幡岬公園へ。

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ここに早くも第一エイド(4.7km)があります。

そう、みちくさマラニック走援隊運営のウルトラといえば、やはりエイド抜きには語れません。75kmコースでもエイドは全部で16ヶ所もあり、それぞれで個性のあるメニューが提供されていました。

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寒い中、温かい猪汁が体にしみわたります。

私は胃腸が強くなく走りながら消化ができないので、前回はエイドにはあまり寄らなかったんですけど 、考えてみれば10時間を超えるレースで何も食べないのは無謀ですよね。ですので今回はできるだけ頂いていくことにしました。

※ただエイドの写真は撮るのに神経を使うのでこの写真しかありません。すみません、エイドの雰囲気に興味がある方はほかのランナーさんのブログをご参照ください。

 

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さて、今日のプランですが……

75kmは自分にとって未踏の距離なので、最後まで行けるかどうかも定かではありません。ですが、まずは走れるところまではキロ7分半~8分で走っていこうと。たぶん35kmあたりで歩きになるでしょうけど、その歩きとエイドやトイレ休憩を含めてもトータルでキロ10分に抑えられれば、12時間半でゴールできることに。制限時間は14時間なので、これなら1時間半の余裕が持てます。

こんなブログを読んでくださる真摯なランナーの皆様には申し訳ないですが、私は決定的に根性がないので、ああ今日はもうだめだ……と思ったらあっさりとリタイアしてしまう性質です。でも、前回があまりにも不甲斐なかったこともあり、今日はできればゴールしたいな、と思っていました。

 

寒い!

おせんころがしのエイド(20.4km)を過ぎて高台へ。(ハーフの通過タイムは2:57でした)

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この大会は海岸線沿いを走ることが多いので、海なし県・栃木のランナーとしては「うぉー!海だー!」というテンションになるところなんですけど、今日はどうにも天気がいまいちです。この日は季節外れの寒波が来ていて、勝浦は前日の最低気温が12℃なのに今日の最高気温は10℃。いやいや、嫌がらせかよ(^-^;

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しかも風が強くて……

今日は私は長袖アンダー+半袖シャツで来たんですけど、キロ8分のもたもたペースで走るには、この格好では寒すぎでした。スタート前に羽織った薄手のウィンドブレーカーを最後まで脱げず。この時期の体温調整は難しいですね。

 

清澄寺への上りは消滅

9時過ぎ、前回リタイアした「ばしゃや」のエイドを通過。(29.2km)

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ばしゃやを過ぎると、100km組にとってコース最大の難関である清澄寺までの300mの上りがあります。前回は75km組も途中までは上らされたので、私はここで完全に死亡してリタイアしたわけですが、第二回からは75km組は上り初めですぐに折り返しになるようになりました。

もともと南房総の75kmはみちくさウルトラマラソンの中で最も平坦だという唄い文句でしたけど、この上りがなくなったので確かにそうだなと感じるように。道中に小さなきつい上りはありますけど、全体としてはとてもフラットなコースでしたね。

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折り返して戻る途中、ふと左手に目をやると懐かしの安房天津駅が。前回はここから一人で電車で勝浦に帰ったんですよ。あれは空しかった……(笑)

 

そして豪雨に

観光客でにぎわう鴨川シーワールドを9:54に通過。

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ここを抜けると、舞台はいよいよ後半に差し掛かってきます。

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41.0kmの浜茶屋太海のエイド着、10:51。

このエイドはこの大会で唯一の関門になっていて、ここでリタイアした場合のみゴールまで送ってもらえます。なので特別に意識していたエイドではありましたが、体調は問題なし。タイムも6時間かかっていませんから、むしろ予想外に順調といえます。先に進みましょう。

 

……しかし、この直後に最大の試練がやってきたのです……

 

次の鴨川オーシャンパークのエイド(44.9km)でおにぎりを頬張っていると、少し大粒の雨が降り出しました。今日の天気予報は曇りのち雨で、スタートから断続的にパラパラと雨が降ったりやんだりしていた天気でしたので、あー、また降ってきたよと思いながら、急いでおにぎりを流し込んで走り出したのですが……

見る間に雨脚は強くなり、気づけば豪雨に。

慌ててビニールポンチョをかぶりましたが、数分で頭から足までびしょぬれに…… そして、そこに襲い来る冷たい風。これはもうたまったものではありません。

やめてやめて! 寒い!寒すぎる!!(><) 

 

幸いにして雨はやがて上がりましたが、体が温まるまでしばらく震えながら走っていました。ホント、この雨は多くのランナーさんたちにとって痛手になったのではないかと思います。エイドでもずぶ濡れで真っ青になっているランナーさんを何名も見かけましたし…… もしあのまま降り続いていたら、自分は間違いなくゴールできなかったでしょうね。

 

南房総ウルトラマラソンは旅

そうこうしているうちに、残りの距離は25kmを切りました。

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ただ、この頃になると右脚の腸脛靭帯炎が屈伸でごまかせなくなってきて、続けて100m以上走るのが困難な状況に。ですので、ここからはほとんど歩いていきます。

 

ところで……

私は年間で15回前後のレースに参加しているので、周りにはマラソンが趣味なんだと思われていますが、実のところ走るのが好きというわけではありません。走っているのは登山のための体力づくりが目的で、マラソン大会に出ているのは、そうした目標がないと自堕落な私は練習すらしないからです。

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ですから、親しい人には(フルマラソンでもよくリタイアしているのに)なぜウルトラマラソンに出るの?と聞かれたりします。これはごもっともな指摘で、走り切れずに後半はウォーキングになるのですから、辛い思いをすることになるのも明白です。

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ただですね……

この大会って勝浦から野島崎灯台までのワンウェイじゃないですか。大抵の大会はスタートとゴールは同じ場所にあるので、2017年に参加したこの大会が、私にとって初めてのワンウェイの大会だったわけです。

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当時はまだ知名度もほとんどなかったので、地元の方から何してるの?なんて聞かれたりして、どこから来たの?→勝浦からです→どこまで行くの?→野島崎灯台まで→え、すごいね!なんてやり取りがありました。で、そう答えたときに、あ、野島崎灯台まで行くのか、って改めて実感しまして……

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それで結局は途中でリタイアして、車でゴールの野島崎灯台に行ったのですが、そこで笑顔でゴールしてくるランナーさんを眺めていて、こう思ったんですよ。ああ、これは自分の知っているマラソンって競技じゃないな、これはもう旅だな……って。

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今回のGPS記録で見てもこうですからね。これを旅といわずしてなんというのか。

この時の感覚は自分にとって結構新鮮で、ああ、いつかまたあの旅に行きたいな、そして今度は野島崎灯台まで自分の足でたどり着きたいな、そう思っていました。

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ですのでこの大会はこれまでで初めて、歩いていてもそれほど辛いとは感じませんでした。エイドが多くていい気分転換ができましたし、スタッフや沿道の方々、通りすがりの車からも何度も応援をいただいて、ペースは最後まで落ちず。この時点でもまだキロ9分で歩けたのは我ながらびっくりです。いつものフルマラソンで歩くときは頑張ってもキロ10分を切れないのに…… 気の持ちようでこうも違うんですね。

 

最後はアイスで〆

15:57、最後のエイドである、房総白浜ウミサトホテル前(71.5km)に到着。

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ここにはなんと苺乗せアイスがあります! もうこのエイドを楽しみに歩いてきたといっても過言ではありません。疲れた身体に糖分が効くこと!

結局この日は、猪汁を皮切りに、いわし汁、鶏の唐揚げ、卵かけご飯、おにぎり、チョコレート、ミカン、野菜寿司、寒天ゼリー、冷凍ブルーベリー、そしてこのアイスをいただきました。なんだかんだ言ってずいぶん食べてるな(笑)

これで元気回復、残りは4km!

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そしてエイドを出てすぐ、ついにゴールが見えました。この瞬間は本当に嬉しかったですね。

ここまで来たらもう着いたようなもの。……といいつつ最後の1kmで、ゴールが見えているのに灯台の周りをぐるっと一周させられたのには閉口しましたが(笑) スタッフや応援の方々の拍手に迎えられて……

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予定よりも早く、11時間37分でゴール! 自己最長距離更新です、やりました!

 

記念のフィニッシャーメダルをかけてもらっている間に記録証が出てきて、記録証を受け取っている間に荷物が返ってきて……と、最後まで至れり尽くせりの応対をしていただき、いそっぴ汁に舌鼓。大満足で帰路に着いたのでした。

 

大会を振り返って

まずはスタッフ、応援の皆様、笑顔でのおもてなしありがとうございました。「寒いから気をつけてね!」と何度も言っていただきましたが、走っている我々ランナーよりも、同じ場所に立ち続けなければならない皆様の方がより寒かったかと思います。皆様の支えでゴールすることができました。本当にお疲れさまでしたm(_ _)m

大会の雰囲気は書いた通りで、75kmはフラットで制限時間もゆるく、みちくさウルトラの中でも最も走りやすい大会です。特に初めてウルトラに参加される方はぜひこの大会から始めてみては?と思います。

 

みちくさマラニック走援隊運営のウルトラに出たのはこれで三回目。(太海エイド以外の)途中でリタイアしたら自力でゴールまで向かわねばなりませんし、ワンウェイですからゴール後も電車で勝浦まで戻らなければなりませんが、この「遊び場は全力で用意する。だから自分の行動には自分で責任をもって楽しんでね!」みたいな運営のスタンス、大好きです。これぞ大人の遊び、という感じで。

ここにはまたいつか”旅”に来たいですね。その時は晴れてくれることを願って!