2019年3月2日。
久々の雪山登山として選んだのは、こちら、”会津のマッターホルン”こと磐梯山。
今年は積雪が少ないですが、果たして雪山らしい景色は見られたのでしょうか……?
雪らしい雪が降らないまま、気づけば季節はもう春の気配。
今年は雪山に登るぜー!と意気込んでいたのに、手ごろな雪山が見当たらないまま、2月はあっさりと過ぎ去ってしまいました。
このままではまずい、とにかく山に行かなければ……! ということで、今回は近場で登りやすい雪山である磐梯山に向かうことにします。
磐梯山は夏場に八方台から登ったことはあるものの、冬場は初めて。どんな景色がみられるのかワクワクしながら、裏磐梯スキー場へと車を走らせました。
リフトのありがたみ
裏磐梯スキー場着、9:15。
積雪期、もっとも簡単に磐梯山に登れるコースがこちら、裏磐梯スキー場からのコースになります。夏は八方台から登りましたし、そう考えると毎回楽してばかりいますが、今は闘病中で体力がないので、安全第一ってことで!
なお余談ですが、この裏磐梯スキー場へのアクセス路は2kmほど泥濘の道が続きます。車が笑えるくらい泥だらけになるので、帰ったら洗車するつもりで訪問しましょう(^-^;
さて、まずはインフォメーションで山頂往復券(¥1,500)を購入したら、ゲレンデに向かって右手にある第一ロマンスリフトへ。第二ロマンスリフトに乗り継いでゲレンデトップまで運んでもらいます。
第二ロマンスリフトの運行開始が9:00からなので、その前にゲレンデ脇を歩いて登る健脚者さんもいるようですが、標高差は約220m、時間も歩きなら30分ほどかかりますし、第二リフトの下はご覧の通り急斜面なので、それなりの覚悟が必要です。
私は「自分の足で登ること」に価値を見出しているタイプではなく、例えば山頂までリフトがあったらそれで登ればいいじゃん!と思ってしまう観光客思考なので、当然のようにリフトへ。ラクチンです(^-^)
ゲレンデトップについたら、さっそくアイゼンを装着。周りの方々はほとんどスノーシューでしたが、最近のレポを見た限り、磐梯山に登るだけならスノーシューやワカンは不要と判断しました。アイゼンもこの時点では要らないですけど、道中でつけるのも面倒なので最初から履いていきます。両手はストックで。ピッケルも持ってはきましたが、使いどころがありませんでした。
さて、それではいきますか! 9:58、登山開始です。
イエローフォールまではスノーハイキング
向かって右手前方の木立の中を潜り抜けていくと、まずは5分ほどで銅沼(あかぬま)へ。
凍結し、積雪した湖面の上を渡っていきます。冬ならではのショートカットルートですね。
雪をまとったカルデラ壁が思っていたよりも綺麗で、思わず足が止まります。う~ん、すごい眺めだ……!
磐梯山は噴火と山体崩壊を繰り返してきた火山なので、地形が急峻で迫力がありますね。噴気を上げる斜面を見ながら先へ。
銅沼から25分ほど雪原を歩いていくと、前方にイエローフォールが見えてきました。
先ほどから先行パーティの方々が多数写っていましたが、ほとんどの方は磐梯山に登るわけではなく、スノートレッキングツアーの方々。そしてそのツアーの目玉がこのイエローフォールです。ゲレンデトップからここまでのんびり来ても40分くらいですし、標高差も100mほどなので、ツアーにはもってこいでしょうね。
ただ私は、イエローフォールは遠目に見るだけにします。
実は今日はあまり時間の余裕がないんですよ。出遅れてしまったので、下りのリフト運行終了(15:30)まであと5時間しかありません。もちろんリフトがなくてもゲレンデ脇を歩いて降りることはできますが、計画通りならともかく、間に合わなくて乗れなかったというのは情けないので、できれば時間までには戻りたい。他の方のレポを見てもだいたい5時間以上はかかっているようですし、そう考えると結構ギリギリなのでした。
ということで、イエローフォールを右手に見送って、カルデラ壁沿いに南東へ。
とにかくこのカルデラ壁の上に出なければなりません。
ハードな急登を越えて
雪原を歩き、樹林帯の中をしばらく進むと、トレースは右手に折れ曲がり、登り斜面に入っていきます。
ここから夏道と合流しますが、この取り付きのあたりは特に目印もないので、ノートレースだとどこから登っていいのか非常にわかりづらそうでした。地形図やGPSを見ておくのをお勧めします。
そしてここから一気にカルデラ壁の上まで上がるのですが……
ここは本当にきつかった!
とにかくね、斜度が半端ないんですよ。GPSで見ると上までの標高差は290m、それに対して水平方向の距離は500mくらいなので、平均斜度は30度もあるようです。夏道と違って積雪期は直登だからこんなにきついのかと思いきや、夏道も直登のようで。マジか、マゾすぎない?この道……
この日の行程を通して、この登りが一番ハードでしたね。一瞬たりとも斜度が緩まない雪の斜面が延々と続き、もう息も絶え絶え、ふくらはぎも攣る寸前(^-^;
ただそんな登りも、歩みを止めなければやがて終わりが近づいてきます。
櫛ヶ峰を左手に仰ぎ見ながら、最後のひと踏ん張りで……
ようやく登りきることができました(11:29)
そして、ここで初めて磐梯山・山頂とご対面。お、ちゃんと雪がありますね、良かった!
白銀の山頂へ
山頂に向かって、夏道をたどっていきます。
この先、登山道に危険な個所はありません。
ただ道はこんな状態なので、何かしらの滑り止めは必要ですね。今日は気温がマイナス5℃とそれほど寒くなかったので、アイゼンはよく効きました。
カルデラ壁から山頂まではおよそ350mの登り。
部分的にはまだ急登もいくつかあって一筋縄ではいきませんが、山頂の美しさに惹かれるように進んでいきました。
まだ雪に埋もれた弘法清水小屋。ここまでくればあとひと踏ん張り。
左の崖に寄りすぎないように、右手側から巻き込むように登って
やがて空が大きく開けてきたら……
はい、磐梯山・山頂に到着です! (12:48)
ゲレンデトップからは2時間50分の道のりでした。
計画通りに
今年の登山は、茶臼岳(峰の茶屋跡まで)、高原山(八海山神社まで)と、いずれも途中敗退でしたので、山頂まで来られたのは久しぶり。やっぱり最後まで登りきると充実感が違いますね(^-^)
今日は残念ながら大気はクリアとは言えず、
猪苗代湖も、
雄国沼方面も澄んだ眺めというわけにはいきませんでしたが、それでも気分的には大満足でした。
さて、そうしてのんびりしていたら、山頂には私一人になっていました。
今日の登山者は15名ほどでしたでしょうか。皆さん、それぞれの登山口に向かって降りていきました。スキーを担いで登ってきている人も複数いて、歓声を上げながら滑っていく姿が印象的でしたね。
では、自分もそろそろ降りましょうか。リフトの時間もありますしね。
その下り行程は、登りとは違って楽勝。雪が適度に締まっていて無駄に沈まなかったので足を取られることもなく、ポンポンとリズムよく降りていけました。
急傾斜も下りでは特に苦労せず、行きと同じルートをたどって……
14:48、予定通りに、リフト運行時間内にゲレンデトップに帰還。リフトの係の方の態度も親切で、気分良く駐車場まで下りられました。ありがとうございました。
こうして久々の雪山登山は無事終了。
近場で無難なところを……と思って選んだ磐梯山でしたが、一度登った山でも違う時期・違うルートで登ってみると、また別の発見があるものですね。カルデラ壁の迫力や、アルペン的な雰囲気の漂う白銀の山頂など、いかにも雪山に来た、という印象で楽しかったです。
今回の裏磐梯スキー場からのルートは、道を間違えなければ滑落などの危険個所がなく、天気の良い日なら比較的安全に登れるルートだと思いました。もちろん雪山なので万全の備えは必要ですし、火山性ガスが噴出している場所には近づかないように注意しなければなりませんが、雪山登山初級コースとして候補に挙げてみてはいかがでしょうか。きっと、雪山の楽しさを味わえると思いますよ。