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登山とマラソン、ときどきゲーム

第5回 上州武尊山スカイビュートレイル30

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2018年9月23日。

2018年秋のマラソンシーズンは、群馬県・武尊山の裾野で開幕。

初戦にしていきなり32kmのトレイル。無事に済むはずもなく…… ハードな1日になりました。

淡々と経緯を書きましたので読み物としては面白くないと思いますが、32kmの感想を書いている人が少ないため、ご参考までに載せておきます。

これまで何度かトレランの大会に出てきましたが、今回のこの大会は初めてのITRA(国際トレイルランニング協会)のポイントレース。 種目は129km、75km、32kmの三つあり、75km以上は当然走り切れないので32kmにエントリーしました。とはいえ、32kmもこれまでの大会では最長距離なのでドキドキです。

ちなみにその32kmレースですが、公式サイトによると「里山がメインで初心者が無理なく完走できる。老若男女健康で、楽しんで走れるコース。」とのこと。

えっ、そうなの!? 確かに制限時間は9時間あるものの、低山とはいえ32kmの山道は簡単じゃないと思うのですが…… ITRAの大会ともなると「初心者」の定義が違うのかも(^-^;

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当日は朝6:30に現地入り。

32kmの部はこのオグナほたかスキー場からスタートして、南西の川場村中央公園に向かうワンウェイです。ゴール後はシャトルバスでここに戻ってくることになります。

なお、来年のために書いておくと、ある程度のお金は持って走った方がいいですよ。ゴール後の川場村でバス待ちしている間に温泉に入ったりできますしね。 

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7時に始まった受付や荷物預けは、スタッフさんの手際が良くスムーズに完了。

8時40分からは来賓スピーチがあり、9時にレースがスタートしました。

 

いきなりの試練

スタート直後、いきなり立ちはだかるのが急傾斜のゲレンデ。 

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最大斜度26度の中級者コースを登っていきます。

ゲレンデ登りって地味にきついんですよね…… 登山道なら、全体としては斜面でも、足を置くところはなんだかんだ平らだったりしますけど、ゲレンデは地面そのものが斜めなので、ふくらはぎにかかる負担が半端ないです。ですので、無理はせずに歩いて登っていきました。

ちなみに、この時点でスタートしてからまだ二分も経っていないと思いますが、先頭との差は早くもこんなに開いています(笑) というか、先頭集団は走ってますからね。あの人たちはなぜ走れるんだ……

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ゲレンデを早くも汗だくになりながら登りきると、今度は急降下に。特に出だしは斜度が急すぎて走れませんし、前日までの雨でぬかるんだ地面により転倒者続出。そして坂を下りきってたどり着いたのは先ほどのスタート地点。

あのっ……この区間要ります⁉(笑) ITRAのポイントの都合なんでしょうか。ヘタレランナーとしては、ここでのダメージが結構尾を引いたように思いました。

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ということで出だしはいきなり過酷でしたが、ゲレンデを降りきってから短い登りを越えると、長く続くなだらかな下りに入ります。

ここは走りやすかったですね! 斜度は適切だし木漏れ日も気持ちいいし、これぞトレランの楽しみといえる区間でした。

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ロードに入っても下りは継続。車通りも少なく、牧歌的な雰囲気の中を駆けぬけていきます。道路わきで畑仕事をされているおじちゃん・おばちゃんからの応援もありがたいものでした(^-^)

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8kmを過ぎると、道は再び登りへ。

ここから、12km地点の赤倉峠のエイドまではずっと登りになります。

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とはいえ、道は林道ですし斜度もご覧の通り緩やかなので、できればここは走っていきたいですね。自分は歩いていましたが(^-^;

この程度の斜面を走れるか走れないかで、その人がトレイルランナーかどうかが分かれる気がします。もし来年も出場するなら、次はぜひとも走ってみたいところ。

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なお余談ですが、32kmコースは「スカイビュートレイル」の割にはあまり展望がない、なんて書かれていたりします。これは前だけ見ていたら確かにその通りなんですけど、余裕があったら振り返ってみると、こんな景色が広がっていたりするのでした。

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11:30、スタートから2時間半で12km地点の赤倉峠エイドに到着。

飲み物は水、スポドリ、コーラ、お茶。食べ物もパン、バナナ、オレンジ、その他(すみません忘れました)と充実。ありがたいことです。トイレもあり。

32kmコースでは食事ができるエイドはここだけなので、補給は十分にしていきましょう。

 

孤独な登り

エイドを過ぎるとしばらくは下りです。

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左手に沢の流れを眺めながらの快適な下り。ずっとこれが続けばいいな……なんて思いますが、

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そううまくいくはずもなく、道は再び登りへ。

 

そしてここからが今回の正念場でした。

次のウォーターステーションまで13kmほど何のランドマークもない登山道を行くのですが、登りはそれほど急登ではないものの疲労のせいかきつく感じますし、もともと最後尾の方からスタートしたこともあって、この辺りになると前後のランナーとの距離が開いてしまい、孤独な旅路に。

天気も曇ってきたため、精神的にも疲れが出てきました。

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平坦なところも下りもありますから走るには走れるのですが、この頃になるともう走っているというよりは、疲労でブレーキがかけられないので落ちているような感じに……(^-^;

急斜面は(特に急降下は)ほとんどなかったので、コースとしてはトレラン向きだと思いましたし、ずっと走れていたら楽しいだろうな、という印象なんですけど、体力のなさでせっかくのコースを活かせなかったのは残念です。

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しかし今思い起こしても田代山から雨乞山までは本当に長かった……

もともと最初からトレランというよりはスピードハイキング程度のペースでしたけど、この頃になるとそのスピードもなくなりただのハイキングに。特に登りはもう一般ハイカーがいたら抜かれるんじゃないかと思うほどまで落ちていました。

(ちなみに、この日は一般ハイカーは一人も見かけませんでした。天気が微妙だったからでしょうか)

 

スタートから6時間以上が経過したので考えるネタもなくなり、ただ道中の木々に結んである大会のタスキ(上の写真にも写ってますね)を励みに歩いていきます。この大会はこの道しるべが10~数10mごとにあったので道迷いの心配は全くなし。

これ、何気に凄いですよね。最長コースは129kmですから、その129km区間全てにこれを結んでいるのかと思うととんでもない労力です。129kmと75kmの部は夜間も走るため、道しるべは反射材やライトなどを使用し、ランナーが迷わないように工夫されていました。スタッフ、ボランティアの方々の苦労にはもう頭の下がる思いでした。

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こうして死にかけながらなんとか26km過ぎのウォーターステーションに到着。

ここでは給水(水とクエン酸飲料)ができます。そして、目の前の坂を上りきると、このコース最大の展望ポイントである雨乞山が…… 

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……ありゃりゃ(^-^;

まあ、雨が降っていないだけマシと思うことにしますか。今年はお盆からずっと天気が悪くて、この日も運よく雨にならなかった、と言った方がいいような日でしたから。

 

さて、ここまで来たらゴールまで残り5kmちょっと、しかも後は下りだけ……なんですが、まだまだ楽させてはくれません。

まず出だしの下りは、木に掴まらなければ降りられないほどの、本日最高の急斜面です。そしてその急降下を過ぎても、市街地までははるか先。もうこの頃になると脚が終わっていて、登山道や林道を走るのはきついので、せめてロードに、ロードに出れば何とか……と思っていたのですが、そのロードまでが遠いこと遠いこと(><)

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なのでこうしてロードに出た時は心底ほっとしたものです。

この頃には75kmの先頭グループが次々追いついてきまして、横を軽快に駆け抜けていくのですが、みなさん笑顔なんですよね。なぜだ、なぜ走れるんだ……

 

自分はスタッフさんに応援された時だけ走ってました。1回あたり15秒くらい(^-^;

でもさすがにゴール近くになると応援も多くなって歩くわけにもいかず、

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一応最後は走ってゴール。タイムは7時間オーバーで、ほとんど最下位に近い順位でした(笑)

だいたいどんな大会でも制限時間ギリギリだったり、オーバーしたりしている人がいるものですが、今回はそういうランナーはいませんでしたね。速報リザルトを見る限りでは、一番遅くゴールした人でも8時間ちょっと。そうした面から見ても、この大会はそれなりに本気でトレランをやっている層が多かったんだろうな、と思っています。

 

ゴール後は飲み物やうどんのサービスをいただいた後、体育館で着替えてシャトルバスで片品村へ。定番の「花咲の湯」で汗を流して帰途につきました。

 

大会を振り返って

この大会、自身としては初めてのITRAポイントレースとなりましたが、やはり参加者のレベルは32kmコースと言えども高く、これまでに参加してきたトレランの大会とは雰囲気の差を感じました。いつもはネタで最後尾ランナーと言っていますけど、本当に最後尾になりかけたのは初めてかも(^-^;

とはいえ、コース自体は走りやすさを考えて設計されており、走り切れる体力があれば楽しいコースだと思いましたので、練習を積んだ方は臆することなく参加してみては、と思います。

※なお余談ですが、32kmは荷物チェックはないものの、レギュレーションはかなりきっちりしており必携品が多いので、ザックはある程度大きいものの方がいいかもしれません。私はグレゴリーのルーファス8を使っていて、他の大会だとこれでも大きい方なんですけど(というか、他の大会だと本当に必携品持ってる?と言いたくなるランナーもよく見かけるのですが)、この大会ではむしろ小さい方でした。

 

最後に、スタッフ・ボランティアの方々のホスピタリティは素晴らしかったです。ゴール後に記録証を"持ってきてもらった"のは初めての経験でした。

2日間に渡ってのレースですし、前後は雨でしたから、その中での事前準備や撤収作業は本当に苦労されたかと思います。楽しいレースをありがとうございました!