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登山とマラソン、ときどきゲーム

富士山

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2018年7月1日。

2018年の夏山シーズンは、日本で最も高い山、富士山で開幕。

この日に登山解禁された吉田ルートからの登山です。富士登山はこれで5回目ですが、開山日の登山は初めて。どんな雰囲気なのか楽しみです。

 

いきなりの出遅れ

富士山の4つのルートのうち、もっとも解禁が早いのがおなじみの吉田ルート。

2018年は7月1日(日曜日)の0時に解禁されました。今年はちょっと事情があって7月の頭に一度富士山に登らないといけなかったのですが、閉鎖ルートを無理矢理突破するのもなぁ……と悩んでいたところだったので、まさに渡りに船。

吉田口からはもう4回も登っていますから(というより、他のルートで登ったことがない)下調べも必要ないですし、こりゃラッキーだわ、と思いながら出発準備を進めました。

 

ところが、前日の土曜日もなんだかんだ用事があって、家を出たのは21:50……

自宅から富士山は250km以上離れてますから、これで日曜0時の解禁の瞬間には間に合わなくなりました。実際にどうするのか(何かイベントがあるのか、など)を見てみたかったのですが、仕方ないですね。時間が半端ですから混まずに済むと前向きに考えましょう。

 

寂しい五合目

河口湖ICで高速を降りて、富士スバルラインへ。

最近の富士山はオンシーズンでの登山が続いていて、オンシーズン中は代替バスで五合目に向かいますから、自分の車でスバルラインを走ったのは久しぶりです。

そして今回も五合目駐車場にはたどり着けず、1kmほど手前の駐車場に停めるように指示されました。早く行ったら五合目に停められるのかは謎ですが、この1kmの舗装路歩きは行きはともかく帰りがきつい(足裏のダメージが大きすぎる)ので、もし五合目に停められるのなら、多少出発が早くなっても、その方が恩恵が大きいと思います。

 

さて、出発しますか!

0:53に駐車場を出て、五合目に着いたのは1:06。

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闇の中で静まり返る五合目が、そこにはありました。

いや~、閑散としてますねぇ! シーズンだったら常に混んでいるイメージなんですが、今は人影もまばら。今日はここで高所順応していく時間も確保できないので、自分もさっさと通過することにします。

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山頂側は完全に晴れ渡っていて、月明かりの下に頂上がはっきりと姿を見せていました。

今日もでしたが、こうして晴れていると、中央道の谷村PA辺りを走っているときに各山小屋の明かりが見えるんですよね。あの光景を見ると、これからあれに登るのか……!なんて少しテンション上がったりします。

 

どこでご来光を見るか

五合目で協力金¥1,000を払って先へ。 

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ちなみに今年の記念品は木札でした。いつぞやの缶バッジと比べるとこちらの方がいいですね。

個人的にはそもそも記念品はいらないのですが、何も渡さないのはさすがにまずいという判断なのでしょうか。必要だから徴収しているのなら、その目的だけに費用を使ってほしい、と思ってしまうのが正直なところです。

 

例によって序盤はあえてゆっくり歩いて、六合目到着が1:56。

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山頂へのルート上に山小屋の灯が連なっているのが見えます。

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一方、河口湖方面はこんな感じ。

低空の雲は画になるだけなのでいいとして、高層に少し雲があるのが気になりますね。今日は取りたい写真があるので、すっきり晴れてくれるといいんですが。

 さて、富士登山は実質ここからが本番。ペースを乱さないように、抑えめに登っていきましょう。

 

夏の富士山に登ったことがある方は分かると思いますが、シーズンの吉田口は常に前後を他の登山者に挟まれながら登っていくのが常です。

しかし今日は他の登山者の姿はほとんどなく、月明かりに照らされた道を、ただ風の音だけを聴きながら淡々と登っていくことができました。ちょっと新鮮でしたね。人でゴミゴミしている山は好きじゃないので、こうして自身とその場の空気だけを感じながら歩けるのは気分が良かったです。

 


 

なお、本当はできればご来光は山頂で……と言いたいところなのですが、この時間から登り始めたのでは日の出前に山頂に到着するのは無理ですね。仮に高度400m/hのペースで登れたとしても、4時には3,100m辺りにたどり着くのがせいぜい。日の出方向に山小屋などが写り込まないように、最終到達点を計算しながら歩いていきました。

 

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登っては振り返って、まだ行けるな……と歩み続けるのを繰り返すこと数回、3:56、2,980m付近で地平線はついに真っ赤に。

3,000mからは八合目になって山小屋ラッシュになりますから、ここらが潮時ですね。大休止を兼ねて日の出を待ちましょう。

 

ちなみにこの時の気温は10℃(五合目は15℃でした)。思ったほど冷え込んでいるわけではないんですけど、風が強いので止まっているとさすがに寒くなってきます。

この日は半袖Tシャツの上に薄手のフリースで登っていまして、そこにモンベルのEXライトウィンドジャケットとレインウェアを着て防風態勢を整えます。

あとは手袋もね! 普段の登山で手袋はあまり使わないので忘れがちですが、富士登山でご来光待ちするなら手袋は超・重要アイテムです。必ず持参しましょう。

もちろん防寒着も、ですよ。私は上の装備で十分だったので防寒着は着ませんでしたが、ダウンなりなんなり、防寒着がないといざというときに窮地に陥ります。ご来光の後は徹夜登山の疲労で道端で仮眠している人も多いのですが、そんな場合にも防寒着がなければとても寝るなんてできませんからね。

 

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そして4:27、7月の幕開けを告げる太陽が昇りました。

 

山でのご来光……何度も見た光景ではあるものの、やはりいいものでした(^-^)

一説にはこうしてご来光を見られる確率は5割とも聞きますが、私の登山ではこれまでのところ毎回晴れてくれています。これは本当にラッキー。

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パノラマも一つ。手抜きでiPhoneで撮ってしまいましたが、雰囲気だけでも。

 

頼む!晴れてくれ!

さて、少しのんびりしてしまいましたね。登山を再開しましょう。

ほんの一登りで、まずは八合目の最初の山小屋・太子館へ。(標高3,100m)

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八合目の最初ということもあって、自分の中では何となくランドマーク的なこの山小屋、到着するとなぜか安心します。

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そして、初めての登山者が苦しめられるのもここから。この後は登っても登っても本八合目、八合五勺……と延々と八合目が続きます(笑)

心が折れてしまったのか高山病なのか、道端に倒れている人が目立ち始めるのもこの辺りからですね。〇合目の表示に惑わされず、無理のないペースで登ることを心掛けましょう。

(余談ですが、道端に人が倒れているのは富士山特有の光景です。他の山ではこんなことはないので、登山とはこういうものだと思わないでくださいね。普通、山で人が倒れていたらそれはおそらく遺体なので恐怖です)

 

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雲海を背に頂上を目指す登山者たち。

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ところで、太陽が昇った割には気温が上がってきません。いつもなら急に暑くなるのに、今日は変だな……と思って振り返ると、晴れていたはずの東側に大きな雲が。

 

書いていませんでしたが、今日は富士登山そのものを楽しみに来たわけではありません。

今回の目的は二つあって、一つはとにかく(吉田口山頂でいいので)山頂まで登ること、そしてもう一つがそこで「ある写真」を撮ること。

ここで一つ目の”山頂まで登ること”については問題なくできるでしょう。しかし二つ目の写真については、何が何でも晴れている風景を撮りたいのです。もしここで晴れてくれないと、また来週も登りに来ることに……(汗)

この夏は他にも行きたい山が沢山ありますから、できればここで決めてしまいたいところ。頼むから晴れてくれよ!と思いながら山頂を目指しました。

 

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なお、今日山開きしたのは吉田口だけ。須走口が未開通なので、いつもは登り専用のこの登山道は、この時期だけ下山用としても使われます。

山頂でご来光を迎えた方々が降りてきたので、すれ違い待ちで若干渋滞気味に。 ……といっても最盛期の混雑と比べればスカスカですけどね。

 

普段登山をしない方には意外かもしれませんが、吉田口からの登山は、体力的に言えばそう厳しいものでもありません。(この日の累積上昇量は1,715mでしたから、先日の経ヶ岳(1,796m)の方が大変なくらい)

ただ、空気の薄さは地味に効きます。疲れているわけではないのに、息だけが切れて足が進まないというか…… この写真だともう山頂の建物が見えているのに、労力の割にはなかなか近づきません。

でも、もちろん一歩でも登ればその分だけ山頂に近くなるわけで、ペースは落としてでも止まらないようにゆっくり、ゆっくり登れば……

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こうして山頂にたどり着くことができるのでした(^-^)

 

五合目を出たのが1:22、今は6:53ですから、5時間半ほどかかったことになります。道中でご来光待ちをしていたにしてもいささか情けないタイムですが、まあ着いたからいいか!

 

目標達成!

山頂脇で食事休憩。

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人で賑わうのは向かって右手の山小屋がある方ですが、自分はこちらからの眺めの方が好きですね。

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この独特の浮遊感はやはり素晴らしいです。

 

さて、肝心の空模様はというと……

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晴れてくれた!ヽ(・∀・)ノ

こうしてみると、むしろ高空の雲はいいアクセントになってくれました。あいにくの強風で撮影が難しかったので、100%狙い通りの写真が撮れた、というわけではないのですが、でも心残りがなくて良かったです。これで来週また来る羽目にならなくてすんだぜ!

  

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山頂の山小屋はまだ開いていないので、ハイシーズンと比べると信じられないくらい静かな山頂。今回撮りたかった写真は人が多いと撮りにくいものなので、これがこの時期に登りたかった理由になります。

今回撮った写真は来年のとあるイベント用。今年は何も準備ができていなくて、イベント期間中に慌てて撮りに行ったりしている有様でしたから、こうして事前に行動できて満足、満足(^-^)

 

時間を取るか、膝を取るか 

さて、これでミッションは終了です。あんまり長居すると帰路が辛くなりそうなので、午前中のうちに下山してしまいましょう。

7:54、下山開始。

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前述の通り、始めは登りの登山道をそのまま下ります。いつもはここから下りないのでなかなか新鮮。

登りの方々は皆さん辛そうです。「山頂はどこですか?」「あれです、もうすぐですよ!」「あれですか、辛いですね……」なんて会話を何度したことか。唇も紫色でチアノーゼ気味の方が多かったですね。呼吸は意識して吸おうとするのではなく、とにかく深く吐くのがコツですよ。吐けば、吸う方は自然に入ってきますので。

 

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例年ならつづら折りのブルドーザー道を下るというつまらない下り行程も、今日は変化があって面白いです。登りの時は上しか見ませんから、こうして下っていくと登りでは見えなかった景色が見えます。特に山小屋の辺りは、まるで空に向かって下りていくようで気分がいいですね。

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……なんて思っていたのもつかの間。

途中で警備員の方に誘導されまして、向かった先は……

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いつものブル道。

ええええ、結局こっちから下りるんかい! いやだ、この道はいやだ!だって単調すぎてつまらないんですよ、この道……

 

一度でも通った方はご存知だと思いますが、ここは斜度は中途半端に急だし、ザレザレなので転倒しやすいし、つづら折りだから距離の割には麓に近づかないし……で、何もいいことがありません。この日も3,000mまで下りた頃にはもううんざりしている有様。

 

そうしてあまりにもつまらなかったため、3,000mまで来たところで歩き方を変えてみました。

ここまでは周りに合わせて、どちらかというと急ぎすぎずに(あくまで歩きで)太ももの筋肉をメインで使っていましたが、斜度的には常にブレーキをかけながら歩いている状態になっていたわけです。なのでブレーキをかけるのはやめて、太ももは使わずに膝下だけを回転させて、重力に逆らわないように小走りで降りてみました。

そうしたらこれが早いのなんの! 3,000mから2,700mまで300m下りるのに要した時間はなんと10分ちょっと。時速換算したら1,500m/hという自分の中では驚異的なペースで下りられました。早すぎて思わず笑ってしまったくらい。

ただ、この歩き方(走り方)は膝には良くないと思います。慣れていないと膝を痛めるでしょうから、あまりお勧めはできないかも。

 

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六合目手前のロックシェードを9:35頃に通過し……

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10:11、五合目に戻ってきました。お疲れさま! 下山に要した時間は2時間17分でした。

 

そうしてたどり着いた五合目はもうどこの国なんだか分からないくらい、中国、韓国、そして東南アジアからと思われる旅行者で溢れています。日本人はマイノリティでしたね(^-^; 落ち着かないし、早く着替えたいのですぐにこの場を後にして駐車場へ。そしてその駐車場へのアスファルト歩きはやはり足裏には厳しかったのでした……

 


 

こうして成功裏に終わった今回の富士登山。

最大の目的であった写真撮影が無事に終わったのは本当にラッキーでしたし、いつもとちょっと雰囲気の違う開山日の様子も体験できて楽しかったです。

この吉田ルートは山小屋も多く、初心者でも比較的安全に上れるルート。何度も登りたくなるような面白い道ではないですが、未踏の方は準備を整えた上で一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。人生において「富士山に登ったことがある」と言えるのは、それなりに楽しいことですよ(^-^)

(私は8月末辺りに会社の方々の引率でまた来ることになりそうです)

 

最後に、当日の様子が動画になっていましたのでご紹介しておきます。

www.youtube.com

 

いい動画だと思いました。さすがにプロは違いますね!