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登山とマラソン、ときどきゲーム

中禅寺湖からやしおの湯へ

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2018年4月29日。

GW登山は日光から。今年は訳あって、中禅寺湖から茶ノ木平→細尾峠→薬師岳→三ノ宿山→やしおの湯と、徒歩で表日光まで下りてみることにしました。

降りるだけだし楽勝かと思いきや、これがなかなかハードな登山になったのでした。

※今回の記録は自分用メモです。面白くないので、このコースに興味がある方だけお読みください。更に、長い割には余談が多くて役に立たない気もします。

ここ数年、日光表連山を縦走するという計画を立てています。東照宮から女峰に登り、小真名子→大真名子→男体を経て中禅寺湖に至り、そこから東照宮まで下山する周回ルート。

いつまでたっても実現されないのは自信がないからですが、その理由の一つに、中禅寺湖から東照宮までのルートが未踏である、ということが挙げられます。

恐らく男体から中禅寺湖まで下りたところで体力はほぼゼロになるでしょうから、そこから下山だけとはいっても簡単にはいかないでしょう。それに時間も夜になりそうで、未知のルートをいきなりヘッデンで歩くのは不安がありますよね。

そこで、まず一度下見に行ってみることにしたのでした。

 

※文章だとルートがイメージしづらいと思いますので、地図を置いておきます。

 

日光混みすぎ…

今日のスタート地点である中禅寺温泉へは、日光駅からバスで向かうことになります。当日をシミュレートしたいので出発はあえて遅くして、13:07 JR日光駅発のバスに乗車。と、ここまでは良かったんですが、バスが出発する際、運転手さんからこんなアナウンスがありました。

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「ご利用いただきありがとうございます。本日は混雑のため、通常5分で到着する神橋まで、40分から1時間かかる見込みとなっております」

1 時 間 ⁉ 神橋までたったの1.4kmなのに1時間!

で、実際に走り始めたらこの有様。この先の駐車場はキャパシティ的にこんなに車を停められるはずもないので、みんな行き場を失って混乱は広がるばかりです。

日光駅から東照宮までは2kmもないですから、観光で訪問される方は電車で来るのをお勧めします、ホントに……

 

中禅寺温泉着は遅れに遅れて14:15。 

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だいぶ遅くなってしまいましたが、まあいいでしょう。いずれにしても後半はヘッデンで歩くんですし、むしろヘッデンで歩く距離が長くなる方が経験的にはプラスになるんですから。

14:30、行動開始。

 

まずは茶ノ木平から細尾峠へ

では、登山口に向かいましょう。バスで来た道を戻って橋を渡り…

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最初の分岐を右へ。お墓の前を過ぎると…

 

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すぐ先の左手に、茶ノ木平への登山口があります。

 

そう、今日の行程は全体的に見れば「下りるだけ」ですが、歩くのは登山道なので下り一辺倒というわけではなく、実際にはいくつかのピークを越えていかねばなりません。

単に下りるだけのルートがあればいいんですけどね いろは坂を歩くとかそういうルートではなくて、山道だけを歩いても下りられるルートをご存知の方がおられましたら教えてください。

 

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ここから最初に茶ノ木平まで登ります。そこから一旦明智平に向かい、途中で分岐して(この図には書いてありませんが)細尾峠に至るのが今日の序盤になりますね。

 

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ということでまずは茶ノ木平へ。

この区間は最初は階段、以後は上の画像のような道でして、一本道なので道迷いの心配は全くなし。

 ただ上昇量はこの茶ノ木平までが今日のルートでは最大で、およそ350mの登りになります。もう4月も末で気温は20℃もあり、早くも汗だくに。まだ始まったばかりなのでペースは抑えていかないと。

 

45分ほどで茶ノ木平着。

地形図を見るとここから明智平への分岐は二つあり、着いてすぐのところに最初の分岐がありますが、登山道が崩れているのかトラロープで封印されていました。ですのでそのまま半月山方向に5分ほど歩いていって…

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二回目の分岐で明智平方向に入ります。正面にまっすぐ延びている半月山への道と比べると細いですし、丸印の看板もこちらからだと見づらいので要注意。

 

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上の分岐から5分ちょっと歩くと、またもや分岐に出ます。

ここは道標の向きから見て明らかに左が道だと思われるのですが、方角が合っていないので無視して右に進んだところ、それが正解でした。左の道はどこに行くのだろう……

 

ここから更に7分で最後の分岐に。ここでようやく道標に細尾峠の文字が出てきて一安心します。あとは道なりに行けばOK。

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ただ、この茶ノ木平→細尾峠の道は全体的にクマザサが茂っていて見通しが良くなく、上記のように分岐も多いので、昼間ならともかく夜は歩きたくないな……という印象でした。もし男体を降りてここに来るのが15時過ぎだったりしたら、もう諦めてバスで降りた方がよさそうですね。

 

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この標高はまだ春の訪れは感じられず、木々は冬枯れのまま。

ただそんな中で、アカヤシオ(ヤシオツツジ)だけはそこかしこで花を咲かせていました。

茶色と灰色の世界の中、鮮やかなピンクが目をひきます。私は花目当てで登山することはないですけど、これを見るとアカヤシオを見たくて山に来る人の気持ちもなんとなくわかる気がしますね。他の方の山行記を見ていても、この花目当てで登ってくる方がほとんどのようでした。

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時間が時間なので茶ノ木平以降は人に会うこともなく、周囲には誰もいないので、Twitter用ネタ写真撮影会を始めてみたり。

今使っているレンズは最短焦点距離が0.35mなので、実はこの写真を撮るのは至難の業です(腕を精いっぱい伸ばしてもレンズ面からの距離は35cmあるかないかなのでピントが合わない)。これ続けるんだったら自撮り棒を加工して何か作らないとダメだなぁ。

 

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さて、遊んでいたらずいぶん時間を食ってしまいました。先に進みましょう。

先ほど写真を撮っていたのが篭石と呼ばれるところで、細尾峠まではただ下っていくだけです。送電鉄塔を二回通過すれば車道が見えてきて……

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16:52、細尾峠に到着しました。

 

薬師岳への急登

歩き始めたのが14:30でしたから、ここまで2時間20分かかったことになります。遊んでいたにしてもちょっと遅いですね。

実は今は体調が悪くて通院してまして、でも5月からはマラソン大会ラッシュで欠場はしたくないし……ということもあり、果たしてこの体調でどの程度のパフォーマンスが出せるのか見てみたい、ということも目的の一つでした。で、実際に歩いてみるとやっぱり登りは遅いですね。なぜか平常時心拍が100を越えてたりしているのですが、運動するとそこに単に心拍が加算される、という感じです。これじゃちょっとキツイなぁ……

 

今日のルートでエスケープするとすれば、それはこの細尾峠をおいて他にはありません。ここからなら車道を道なりに下るだけで(距離はともかく)安全に表日光まで行くことができます。

なのでちょっとだけ考えましたが、リタイヤするほどダメって感覚でもないんですよね。まあ今日は暖かいので特に危なくもないでしょうし、ゆっくり歩けば問題ないでしょう。続行します。

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細尾峠からは、まず薬師岳まで200mほど登り返しになります。

ここに限りませんが、今回のルートの登山道は登り下りがやたら急で、見かけの標高差以上に苦戦しました。また、ここからは写真のように細い尾根が出てきて、少しだけ神経を使うようになります。

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こちらの尾根にもアカヤシオが。

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今は五分咲き程度でしょうか。まだ咲いていない木々もつぼみがびっしりで、これが全部咲いたら確かに見事な眺めになるでしょうね。

そんな木々を見ながら、休み休み登っていきます。

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苦戦すること30分、本日の行程で唯一のピークらしいピークである薬師岳に到着(17:22)。

 

遠き山に日は落ちて

木々がまだ芽吹いていないこともあり、遠望の利く薬師岳の山頂。

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正面にはこれから向かう峰々が見えています。う~ん、まだまだ遠いな……

 

山頂の道標には、この先への案内はありません。ですがルートはこのまままっすぐ続いています。地形図を信じて先に進みましょう。

 

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標高1,420mの薬師岳から、一旦1,120m程度の暗部まで300mほど下ります。

先ほども書きましたが、とにかくこのルートは登り下りが急で、しかも大抵が手がかり・足がかりのない単なる土の斜面、更にそこに落ち葉が積み重なっているというコンディションなので、歩きにくいったらありゃしません。最近はストックは邪魔に感じてしまって使っていないのですが、ここはストックがないとダメですね。

 

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18:10、ようやく山の端に太陽が沈んでいきました。今日は下見&訓練なので明るいと意味がなくて、早く暗くなってくれないかな~、と思っていたのですが、春の森って明るいんですね。これが夏だったらもう何も見えなくてもおかしくないんですけど、ヘッデンが必要になったのは18:30を過ぎてからでした。

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マイナールートですが踏み跡はそれなりに目立っていて、おおむねこんな感じ。場所によっては踏み跡が全く分からないところもありましたが、地形図をちゃんと読み込んでおけば尾根通しなのでそうそう迷わないのではないかという印象でした。

 

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三ノ宿山の一つ手前にある1,286mピーク(大木戸山というらしい)着、18:55。

 

ヘッデンを使うようになってからはやはりペースは落ちます。周囲が見通せないためルートを慎重に見極めながら行動することになりますので。

そうやって注意していてもやはり何度かはルートをプチロストしまして、今回はこの大木戸山から三ノ宿山への降り口、三ノ宿山への取りつき、三ノ宿山からやしおの湯への降り口、の三か所で間違った方に行きかけました。「ん?なんか変だな」と思ったら、とにかく一度戻るのが肝心ですね。特にこの大木戸山から三ノ宿山へは登山道がかなり直角に近い形で左に折れるので、見逃してそのまま尾根を辿らないようにご注意を。

 

……と、こんな夜間山行をしていると、特に一般の方からは正気を疑われると思いますが、これはこれで結構楽しいのですよ。

山登りの力量ってトータルで必要だと思うんですよね。昼間の山行ばかり重ねていても(脚力はつくかもしれませんが)最近はあまり経験値が入ってないな......と思うようになったので、久々にこうして地形図を睨みながらルートを探して歩いていると、鈍っていた感性が研ぎ澄まされる気がしますし、こうした経験を積んでいくことは、万一遭難したときなどに役立つのではないかと思っています。

 

しかも今日はもう4月も末で気温も高く風もないですから、悲壮感がないのも精神的な余裕を生み出していました。明日も休みですから、もし迷ったら明るくなるまで山中ビバークすればいいだけの話ですしね。

 


 

余談が長くなってすみませんが、その昔― 2012年11月の週末に、栃木・日光の女峰山(2,483m)に登りに行ったことがありました。

この際、もともとは土曜日に登るつもりだったのですが、女峰を見ると山頂にどす黒い雲が被っていまして、ああ、ありゃ吹雪だな……と思ったので取りやめ、快晴になった日曜日に登ったのです。

すると、半分もいかないうちに早くも下りてくる登山者と会いました。往復したにしてはやけに早いので声をかけてみると、その方は実は土曜日に登っていて、山頂で猛吹雪にまかれて行動不能となり、ビバークしていたとのこと。

 

この方の行動は、世間一般から見れば決して褒められたものではないと思います。一歩間違えれば遭難ですし、土曜日のあの雲を見れば突っ込まないべきでしょう。

でも私はその話を聞いていて凄いなと思ったんですよね、よく生きてたなと。吹雪いた氷点下の山頂で一晩過ごすのはなかなかできたもんじゃありません。ツェルトやエマージェンシーシートのような緊急避難用装備をもってなければまず耐えきれないだろうと思いますし、逆に耐えきったということはそれなりの準備を整えていたということですよね。今どきの登山者で、これができる人が果たしてどれだけいるのかと。

 

なのでこれ以降、果たして自分が同じ状況に追い込まれたときに無事にやり過ごせるのかどうかは気になっていまして、何度かビバークの練習をしたりしてみました。ですので今日のこの状況はお気楽なものだったり。

 


 

大木戸山からかなり下り、急登を登り返すと三ノ宿山に到着(19:24)

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標高約1,270mの登山口からかれこれ10km以上歩いてきたのに、度重なる登りのせいで標高はまだ40mしか下がっていません。やしおの湯が680mくらいですからまだ残り550m……いい加減に下ろしてもらえませんかね(^-^;

 

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そんな三ノ宿山の山頂のすぐ先に、本日最後の分岐があります。正面は鳴虫山へ続く尾根なので、〇の看板や赤テープに従って左手に曲がり、やしおの湯への降り口に。看板を設置してくださった方、ありがとうございます。

 

後は尾根を行くだけ。ちょっとした登りはありますが、小さめなので苦戦はしないと思います。下りは相変わらず急で苦労しますけどね。一歩一歩ブレーキをかけながら降りていたら右脚の太ももが攣りましたし…… 太ももって攣るんだ……

 

踏み跡は一部不明瞭なところもありますけど、この先は赤テープも多いですし、地形と方角を確かめながら歩けば迷う心配は少なそうでした。 

 

 

 こんなことをしてる心理的余裕もあるくらい。もしこれを読んでいるPさんがおられましたら、一票でも加蓮に投票していただけると泣いて感謝します。今ホント必死なので……!

 

この区間で唯一気になるとすれば鹿くらいでしたね。突然至近距離(20~30mくらい)で大音量で鳴くのでドッキリします。しかもやたら数が多くて……

 

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標高850m付近の送電鉄塔を過ぎれば、あとはもう着いたようなもの。地面には地籍調査の杭がびっしり並んでいますし、もうルートは明瞭です。

 

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ということで、21:10、無事にやしおの湯に到着。お疲れさまでした!

本番ではここから駐車場まで7kmほど歩いて戻るんですけど、今日は疲れ果てたので素直にタクシーを呼びました……

 


 

そうして駐車場まで戻ると、突然震えが止まらなくなりました。ありゃ、低体温症になりかけてますね、これは。ということでこのまま帰るのは辛いので……

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ナイトハイカーの強い味方、25時まで営業の「日光小倉山温泉 春曉庭ゆりん」へ。温泉でじっくり温まって復活し、近場で食事をしてから帰路へ。

 

こうして今回の下見登山は幕を閉じました。

目的は達せられましたが、結論から言うと、男体山まで縦走した後にこのルートで下山するのは、今の体力ではかなり厳しいと言わざるを得ません(^-^;

最後に低体温症になりかけているのは食事量が足りない(昼食をとってない)のと、体調不良だからということであまり気にしていないのですが、何気にこのルート、GPSログを見ると思ったよりハードだったことが分かります。

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男体山並みの累積上昇1,292mもどうかと思いますが、累積下降が1,800mを超えたのは久しく記憶にありません。GPSはぶれるので大き目な数字にはなっているんでしょうけど、距離14.2kmも相まって、お気楽な下山道、というわけにはいかなさそうです。

う~ん、今年はちょっと辛いかな? まずは一回男体山までで止めて、来年余裕があったらこちらまで踏み込む方が賢明かもしれませんね。