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登山とマラソン、ときどきゲーム

雄国沼

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2017年7月8日。

毎年、行こう行こうと思っていながら、気づくと時期が過ぎてしまうこの雄国沼。今年もやや時期外れにはなりましたが、ようやく訪問することができました。

 

今年の山行記録でなくてすみません。シーズン中は山行記録を書くのが間に合わないので、過去の記録で書きたいものがいくつか残ったままになっていまして、少しずつ公開していきたいと思います。特にこの雄国沼は知名度こそ低いものの、近場の方にはぜひ訪れてみてほしい場所だったりしましたので。

 

さて、福島県は裏磐梯にあるこの雄国沼。登山者にとってはいささかマイナーな場所かもしれませんが、初夏のニッコウキスゲの群落が見事で、観光スポットとしては人気のあるところです。自分もその群落が見たくて、毎年チャンスをうかがっていました。

ただ皆さんご存知の通り、ニッコウキスゲが咲く期間は短いうえに、梅雨が明けきらない時期ですから、休日&晴れを狙っていると、機会が訪れないままシーズンが終わってしまうことも。今年もそんな感じで、6月は訪問できずにいました。

しかし、今年は開花が遅れたため、7月頭でもまだ花が残っているとのこと。となればこれはもう行くしかないですね。ちょうど晴れてくれた土曜日、東北道を突っ走って福島に向かったのでした。

 

ラビスパ裏磐梯から

雄国沼へのルートは主に4つありまして、一番楽なのは雄国萩平からシャトルバスに乗るルートです。ただこれだとバスを降りたらいきなり雄国沼。観光客の方はそれでいいでしょうけど自分は一応登山者なので、それでは張り合いがなさすぎます。

そこで今回は北のラビスパ裏磐梯から、雄国パノラマ探勝路を辿って、雄国山経由で向かうコースにしました。

猪苗代磐梯高原ICで高速を降りて、一路北へ。

 

道中では、登山ルートとしては最短で人気がある鳴子沢を通過しましたが、時間が遅いこともあってすごい路駐の列でした。まあ自分もあまり人のことは言えませんが、登山者はもうちょっと社会常識というか、モラルを持ってもいいんじゃないですかね……

 

道の駅・裏磐梯を通り過ぎれば目的地はすぐそこ。ラビスパ裏磐梯の登山者用駐車場に着いたのは8:50でした。

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ラビスパ裏磐梯には駐車場がいくつかありますが、登山者用は一番上になります。いつも思いますが、こうした駐車場って県や市町村との取り決めで設けないといけないことになってるんでしょうか。ラビスパ裏磐梯には何のメリットもないと思いますが…… いずれにしてもありがたいことです。トイレもあって助かります。

夏場なので準備は簡単。9:02、雄国山に向かって出発です。

 

北からのアプローチは好きじゃないけど

ここからは雄国パノラマ探勝路を辿っていきます。登山道入り口は駐車場のすぐ上。

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この入り口も、

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登山道も最初のうちは細くて、あれ、あまり歩かれていないのかな……?という雰囲気。そもそもラビスパ側からの登山者は多くない上に、入り口は二か所あるので、合流するまでは裏道のような印象でした。

 

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この雄国パノラマ探勝路は、雄国山へ向かって南下する登山道。

実は私はこうして北から登る登山道はあまり好きじゃないんです。なぜって、朝日が山に遮られて当たらないこともあって、雰囲気が暗いから。それで季節が秋とか冬で、木々が人工林だったりしたら最悪です。

でも今回のこの道は良かったですよ。自然林だから明るくて、北から登っていることを感じさせないくらいでしたし、適度に涼しくて、これぞまさに森林浴!という感じでした。やっぱり初夏の森はいいね(^-^)

アップダウンも激しくないので、スイスイ登っていけます。

 

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やがて右手に、いまだに雪が残る飯豊連峰が見え……

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頭上が開けてきたら、山頂はもう間近。

 

これを書いているのは2018年の3月ですが、この画像を見ると当時の記憶がよみがえってきて、夏が待ちきれない気分になります。

雪山の登山記録を読みたい方々には申し訳ないのですが、やはり自分は初夏の山が好きですね。暑すぎない日差しに心地よい風、あの感覚は山でしか味わえないもので、例えばこの道を歩いているだけでも幸せな気持ちになれたりするのでした。

 

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歩き始めてから1時間16分で、まずは雄国山(1,271m)の山頂に到着。

登山口からの累積標高は500m弱といったところでしょうか。コースタイムは1時間40分ですからそんなに早くもないですが、こうして軽装だとやはりランニングで培われた体力は登山にもそれなりに効いてるな、という感じはします。縦走のように荷物が重くなると別の筋力が必要になるようで、ランの効果は薄くなってしまいますが。

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山頂の展望台からは磐梯山、雄国沼、喜多方の街並み、飯豊連峰、そして檜原湖まで、360°を見渡すことができました。いい眺めですね(^-^)

 

雄国沼へ

少し休んだら、いよいよ目的地である雄国沼へ降りていきます。

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この雄国山南面はちょっとだけ急坂。こっちは降りるだけだからいいですが、登ってくる人はなかなかに辛そうでした。

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降りると鳴子沢ルートと合流し、雄国休憩舎の脇を通ります。

ここから人が一気に増えて賑やかになりました。……というより人だらけでちょっと面くらいます。ラビスパ裏磐梯から雄国山までの区間は誰とも会わなかったので余計に。

あとは、目指す雄国沼まで林道のようなアップダウンもない道を辿っていくだけです。ちょっと飛ばし気味に歩いて、休憩舎から約15分で…… 

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はい、雄国沼に到着しました。

湖畔の一部がニッコウキスゲの群生地になっています。一方通行の木道を辿って、ついに楽園の中へ。 

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歩き出してすぐ、目の前に広がった光景を前に思わず足が止まります。

青空の下に広がっていたのはニッコウキスゲの絨毯。澄んだ湖水の上を爽やかな風が吹き抜け、遠く山々を望むこの光景はもう極楽そのもの。

うん、こりゃ人気も出るわけだわ……!

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もうシーズンも終わりかけだったことと、人が多すぎたのでいい写真は撮れず、ここで十分にご紹介できないのが残念ですが、来て良かった……とにかくその一言に尽きます。花の黄色と木々の緑、そして湖水や空の青。ここには自分の好きなものが全部あるかのようでした。

自然の魅力をこれ以上ない形で具現化したようなこの場所。これ以上人気が出て混んでも困りますが、一方で、こうした光景を自分と同じように綺麗だと、好きだと感じている人がこんなにいるというのは、それはそれでやはり嬉しいことだったのでした。

 


この後は暑くなりすぎないうちに撤退を開始し、来た道を戻りました。

混んでいたのは雄国山の山頂までで、そこから先は行きと同じく一人旅。新緑の森を独り占めする贅沢を楽しみながら歩いて、駐車場に戻ったのは13:11。

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およそ4時間の、短いながらも充実した山旅は、こうして幕を閉じました。

 


下山後はラビスパ裏磐梯の温泉へ。こちらも時間が中途半端だったので貸し切り状態になった露天風呂を満喫し、道の駅・裏磐梯で遅めの昼食をとってから家路へ。ラビスパ裏磐梯も道の駅も初めて訪問するところでしたから、旅行としても楽しくて、なんとも充実した休日が過ごせました。

 

冒頭でも書いた通り、開花シーズンが梅雨と被るのでなかなか訪問のタイミングを計るのが難しいこの雄国沼ですが、花が好きな方、自然が好きな方はぜひ一度訪れてみてほしい場所です。山歩きに慣れていないならバスでも訪問できますから、晴れさえすれば決してハードルは高くありません。きっと、日本の初夏の良さを十分に味わえると思いますよ。

 

自分もまたいつか再訪してみたいと思っています。今度はできれば八方台から猫魔ヶ岳を越えて。そちらからも素晴らしい景色が望めそうで、今からその日が楽しみです。