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登山とマラソン、ときどきゲーム

双六岳・笠ヶ岳 (北ア南部周遊7日間) 3日目

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2015年の夏に北アルプス南部を7日間かけて歩きました。

その3日目の記録です。

 

★ 3日目 7/28(火) 【 小梨平 → ババ平 】

3日目は、予報通り雨の中で始まりました。

今日は平地歩きなので雨でも苦労はしませんけど、できれば濡れるのは避けたいもの。
雨は午前中だけのはずですから、しばらく待ってみるか……と、テントの中で時間を潰してみます。

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すると、これまた予報通り、7時には雨は小降りになり、晴れ間も見えてきました。

 

よし、出発しますか!
テントをたたんで、防水カメラのXP70を片手に、小梨平を後にします (8:07)

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歩き出したら、まずは河童橋へ。

 

ん? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう、本来は小梨平からそのまま梓川左岸を通って明神に向かうのが普通です。

でもそのルートはもう何度も通りましたし、今日は時間に余裕がありますから、今回は右岸を通ってみようと思ったのでした

 

上高地で一番美しい場所

みなさんおなじみの左岸は、横尾に通じる林道になっています。

ずっと樹林の中の砂利道ですから、これが慣れてしまった方々には単調に感じられる理由なのでしょう。

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一方右岸はというと、こちらにも林道はありますが、登山者は専用の遊歩道を通ることになります。

この出だしの木道から、お、ちょっとこれは期待できそうかも?と思ったものですが、実際に歩いてみればそこは、自分にとっては天国のような場所でした。

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何を求めて山に来るかは、人によってさまざまでしょう。

恐らくですが、多くの方はやはり山頂からの大展望が楽しみなんだと思います。私もそれ自体は否定する気はなくて、やはり展望が良い山とそうでない山となら、展望の良い方を選びます。 

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ただこうして何度も登山してみて、いくつもの山を巡り歩いてみると、実は自分が一番求めているものは、自然と触れ合って季節の移り変わりを感じられることなんだと気づきました。

そこにスケール感は必ずしも必要なくて、例えばそれが大河であっても小川であっても、そこに自然を、そして生命を感じられれば良いのだと。 

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その意味で、この梓川右岸はまさに自分の求めていた場所だったのです。

梓川に流れ込むいくつもの沢を渡ったり、横に眺めながら歩いていくこの道は、自然の美しさに溢れていました。 

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昨日見た大正池のような雄大な眺めは、ここにはありません。アップダウンも多いうえに遠回りなので、左岸に比べると15分ほど余計に時間もかかります。

でも、もし左岸を通るのに飽きてしまったら、ぜひ一度この右岸を通ってみてください。この道を歩くためだけに上高地に来るのも悪くない、そう思えるほど、ここはお気に入りの場所になりました。 

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新村橋に差し掛かるころには、空もすっかり晴れました。

最高の気分で、左岸に戻ります。

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あとはのんびり。今日は急ぐ旅路じゃありませんしね。

登山者でにぎわう徳澤園を10:12に通過し……

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横尾に着いたのは11:14でした。

 

槍を目指して

もう何度となく訪れたことのあるこの横尾。でも今回は少し気構えが違います。

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これまでここに来た際は、必ずここから横尾大橋を渡って涸沢に向かっていました。そしてそのたびに、この「槍ヶ岳 11K」という道標が気になっていたものです。いつか、あの道も歩いてみたいな……と。やはり自分も登山者の端くれ、この道を歩いていくと槍ヶ岳に着く、というのはとても魅力的に感じるわけです。

 

今日はいよいよその槍ヶ岳への道を進むことになります。

横尾山荘の食堂でお昼代わりのチャーハンをいただいたら、いざ槍へ!(11:46)

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蝶ヶ岳への道を右に分けて、槍ヶ岳方面へ進みます。

こうして新しい道を開拓できるのはワクワクしますね。そしてそれと同時に新しい宿題もできてしまいました。次に機会があったら、今度は蝶ヶ岳を目指すことにしましょう。

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槍沢沿いに、まずは槍沢ロッヂへ。

この横尾~槍沢ロッヂの登山道は、涸沢への道とは違って、急登はほとんどありません。また樹林帯ではあるものの、あちらに比べれば視界が視界が開けているところも多いですし、何より沢への距離が近いので、雰囲気としてもだいぶ爽やかに感じます。

 

……なんですが、やはり登りになるとペースは上がりません……

横尾と槍沢ロッヂの高低差はたったの200m。今年は一週間とはいえ荷物はだいぶ絞ってきましたから、ザックも30kgは切っているはずなのに、思わず小休止を取ってしまう場面も二度三度。

汗が地面に滴り落ちるのを見ながら理由を考えてみると、恐らくこれは暑熱馴化できていないんだろうと。職場はクーラー効きすぎで、暑さ慣れする機会がないんですよね。

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私はもともと暑さに弱い性質なので、暑いとパフォーマンスは劇的に下がります。

沢の流れを見ながら、暑くない、暑くない……と自分を洗脳してみるも、効果はゼロ。

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とはいえ道としては終始こんな雰囲気でしたから、歩いていてつまらなくはなかったです。涸沢への道より、こっちの方が好きだな。

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槍沢ロッヂ着は13:28。コースタイムの1:40を若干オーバーしての到着になりました。先が思いやられますね……

 

ババ平は工事中

さて、今日はこれで終わり……ではなくて、今回はテント泊ですから、まだ登らねばなりません。

そう、ここにはテント場はないのです。槍沢ロッヂが管理しているババ平のテント場はここから更に160mほど登ったところに設けられています。

ということでテント場の受付をしたら、引き続き登山道へ。

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この頃になるともう疲れていましたが、意外とこのババ平までの道は苦ではありませんでした。

周りに登山者の姿もない中、ただ自然の音だけを聞きながら歩くのは嫌いではありませんし、やはり初めての道というのはそれなりに楽しいものです。

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こういうところは若干不安になりましたけどね(^-^;

 

距離自体は1kmほどでしたから、高低差160mにしては意外とあっさりで、14:14、ババ平に到着。

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そのババ平テント場はというと、ご覧の通りこの時は工事中でした。

いつもはここがテント場なんですけど、今日は設営禁止です。工事期間内は臨時で槍沢の河川敷がテント場になっていました。ですのでここはテント場紹介には載せられません。ちょっと残念。

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砂地の適当なところにテントを設営して、ようやく今日のミッションが完了。

鉄砲水でも来たら一発でアウトな場所ですが、ここは上流なので大雨でも降らない限り心配なさそうです。これがもっと下だったら張るのに勇気が要りそうですけどね。

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明日はこの沢沿いに登り、槍ヶ岳のテント場まで行きます。

ちなみに、正面に見えているのは東鎌尾根。あれよりもっと高いところまで登るのか……と思うとちょっと身構える部分もありますが、ここまで来たら頑張るしかありません。

 

この日のテント場、最終的には15張くらいでしたでしょうか。

河川敷が使い放題とあって適度な間隔が取れたため快適で、ゆっくり明日への英気を養うことができたのでした。